【プレスリリース】発表日:2024年09月05日贈り物の交換による地位の競争と社会構造の変化――文化人類学への統計物理学的アプローチ――【発表のポイント】◆文化人類学で議論されてきた贈与による覇権争いを数理モデルで表現し、贈与の規模や頻度に応じて多様な社会構造が組織されることを計算機シミュレーションで明らかにした。◆文化人類学の現象に統計物理学のアプローチを導入することで、個人レベル
勉強や仕事などで解決策が見つからずに行き詰まった際に「一晩寝たら解決策が思い浮かんだ」という経験をしたことがある人は多いはず。一晩眠るとアイデアが思いつく現象には睡眠中の脳の記憶整理機能が関係しているとされているのですが、新たにイェール大学の研究チームによって記憶整理機能のメカニズムの一端が解明されました。 Nested compressed co-representations of multiple sequential experiences during sleep | Nature Neuroscience https://www.nature.com/articles/s41593-024-01703-6 Sleep on it: How the brain processes many experiences — even when ‘offline’ | YaleNews
世界中の大学のコンピュータサイエンスやプログラミング講座が日本語で学べる「MOOC」(大規模公開オンライン講座)サイトまとめ。2024年版 インターネット上にはコンピュータ関連の情報があふれていますが、その情報の正確さや網羅性は玉石混淆で、いざそれらから学ぼうとしても取捨選択の段階で立ち止まってしまうこともあるはずです。 そうしたときに頼りになるもののひとつが大学のような専門の教育機関による講座であり、それらの講座を有料もしくは無料で提供する「MOOC」(Massive Open Online Courses:大規模公開オンライン講座)のWebサイトはここ数年で広く知られるようになってきました。 そこで本記事では、世界中の大学の講座などを提供している主要なMOOCサイトから、日本語で学べるコンピュータ関連の講座で、しかも無料で学べるものをピックアップしてみました。 もちろん、MOOCサイト
古代ギリシャの原子論から、コペルニクスの地動説、ガリレオの望遠鏡、ニュートン力学、ファラデーの力線、アインシュタインの相対性理論まで、この世界のしくみを解き明かす大発見はどのように生まれてきたのか? 親子の対話形式でわかりやすく科学の歴史を描き出した新刊『父が子に語る科学の話』。本連載では、26万部を超えるベストセラー『独学大全』の著者・読書猿さんによる解説をお届けする。 なぜ科学には「冷たい」イメージがあるのか? 「科学」と聞いて、思い浮かぶイメージは何だろうか? 白衣を纏い、無機質な実験室で黙々と研究に励む科学者の姿? 黒板を埋め尽くす数式や難解な専門用語? あるいは世界を変えるような画期的な発明の数々? 今日、科学を「役立たず」だと謗る人は多くない。「理解できない」と拒絶するのもはばかられる。科学はとても役に立っている。日常生活の隅々までいきわたり、我々の生活を支えている。 けれども
GoogleのAI部門が開発を続けているソフトウェア「AlphaFold」。「タンパク質の折りたたみ問題」を解くためのAIプログラムとのことですが、そもそも「タンパク質の折りたたみ問題」とはいかなるもので、なぜこの問題を説くことが重要視されるのでしょうか。今回のメルマガ『週刊 Life is beautiful』では著者で世界的エンジニアとして知られる中島聡さんが、そんな疑問に対する答えを具体例を上げつつわかりやすく解説。さらに「AlphaFold」が医学の進歩に大きな影響を与える理由を紹介しています。 ※本記事のタイトルはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:AIと医療(AlphaFold) プロフィール:中島聡(なかじま・さとし) ブロガー/起業家/ソフトウェア・エンジニア、工学修士(早稲田大学)/MBA(ワシントン大学)。NTT通信研究所/マイクロソフト日本法人/マイクロソフト
輸入レモンは危なくない。古い情報に惑わされないで[食の安全と健康:第16回 文・松永和紀] 公開日: 2022年4月25日 私たちの素朴な疑問 Q. 輸入レモンは農薬がたっぷりで危ない、と聞きました。農薬を洗って落とす方法を教えてください。 A. 危ないという情報は非常に古くて、科学的根拠がありません。そもそも、農薬がそれほどの量、残っているわけではありません。 インターネットで輸入レモンと検索すると、危ないという情報が大量に出てきます。防かび剤が、ワックスが、それを落とす方法は……。この“危ない”話、実は1970年代から流れている古い古い情報なのです。実際のところは真実からかけ離れています。そんな古い話をそのまま信じるのですか? 解説しましょう。 安全性は、残留基準ではなくADIで考える 作物は栽培時に農薬が使われます。ただし、一部の農薬成分はくだものやじゃがいもに限定して、収穫後(ポス
「教科書通りの経営」と聞くと現実に即していない理想論の経営のようなイメージを持つ人も少なくないだろう。実際、経営学の教科書は“机上の空論”になりがちであまり役に立たないといった意見も耳にする。 だが、本当にそうだろうか。経営学の教科書は緻密な研究に基づいて書かれており、その内容は信頼度が高い。それをマネジメントに生かせば成功確率を上げる可能性も高まるはずだ。実は強い会社には「教科書」があるケースも目立つ。経営の羅針盤となり、それぞれの現場に即した形で活用すれば、競争力を持続的に高められるからだ。 もちろん教科書を「どう使えばいいか分からない」という声もあることだろう。まずは「教科書通り」の経営を実践するという星野リゾートの星野佳路代表の声に耳を傾けてみよう。 そもそも、なぜ経営学の教科書を実際の経営に生かそうと考えたのでしょうか。 私は経営職に就いた当初から自分が特別な資質を持っていると思
理化学研究所(理研)脳神経科学研究センター 数理脳科学研究チームの寺田 裕 基礎科学特別研究員(研究当時)と豊泉 太郎 チームリーダーの研究チームは、神経ダイナミクスのカオス[1]を用いて、環境状態の推定を行う脳型のベイズ計算[2]機構を提案しました。本研究成果は、脳の情報処理メカニズムの原理の解明、特に神経活動のダイナミクスを用いた推論の理解に貢献すると考えられます。また、脳を模倣したニューロモルフィック計算機[3]など人工知能や機械学習への応用も期待されます。 今回、研究チームは、神経細胞間の情報伝達を担うシナプス結合[4]の効果で生じる神経活動のカオスに着目しました。提案した脳の神経回路[5]のモデルでは、感覚入力がたとえ一定であっても、シナプス結合による神経細胞間の相互作用を使って時間とともに揺らぐ神経活動を積極的に生成します。このように生成された神経活動は微小な変動による誤差が将
前世紀には観測問題を論じる人が多かったのですが、標準的な量子力学にはそのような観測問題はなかったことが現在では分かっております。例えば以下のように理解されています。 (1)波動関数の収縮について: 量子力学は情報理論の一種であり、波動関数は古典力学の粒子のような実在ではなく、情報の集まりに過ぎません。測定によって対象系の知識が増えることで、対象系の物理量の確率分布の集まりである波動関数も更新されるのが波動関数の収縮です。 「系を観測をすると、その波動関数(または状態ベクトル)は収縮し、その変化はシュレディンガー方程式に従わない」と聞いて、前世紀の「観測問題」に目覚めてしまって、「波動関数とは?収縮とは?」と懊悩してしまっている物理学徒は、まず箱の中の古典的なサイコロの目の確率を考察してみて下さい。 この場合は古典的な確率で、実際には箱の中のサイコロの目は決まっていますが、ここで問題とすべき
国立天文台は3月6日、ファンタジーTRPG『サンドキャッスルTRPG』の日本語版を公開した。ゲームを遊ぶためのルールブックのほか、ペーパーコマやサイコロといったプレイ用アイテムも無料でダウンロードすることができる。 『サンドキャッスルTRPG』は初心者からベテランまでが楽しめる、シンプルで手軽なシステムのTRPGだ。2023年2月に英語版が発表されており、日本語版の制作が進められていた(関連記事)。 舞台は「ドメイン」と呼ばれる中世風の剣と魔法のファンタジー世界。魔術師や怪物、エルフやドワーフが登場する、オーソドックスなファンタジー世界観である。しかし、科学技術は中世とは思えないほどに発達しており、プレイヤーキャラクターは「物理科学」や「工学」といった科学技術的な技能を身につけることが可能だ。純粋なファンタジーとは一味違った、科学的な冒険を楽しめるTRPGシステムなのだ。 国立天文台は日本
講談社ブルーバックスから2016年に出版された『つながる脳科学』。理研CBSの前身であるBSIの研究者9名が、それぞれが取り組む研究分野の最前線を分かりやすく解説します。全9章のなかから3章を連載でお届けします。 ブルーバックス公式サイトはこちら 数理モデルでつなげる脳の仕組み 脳を知るための研究は、実験だけではありません。数理モデルなど「理論」で追究することも重要です。脳の学習はどのように進むのか?AIのディープラーニングとは何が違うのか?理論から脳を眺めると、新たなつながりが見えてきます。 豊泉 太郎(とよいずみ たろう) 数理脳科学研究チーム チームリーダー 1978年、東京都生まれ。東京工業大学理学部卒業。東京大学大学院新領域創成科学研究科博士課程修了。米国コロンビア大学博士研究員などを経て、2011年より現職。2013年から3年間、東京工業大学大学院総合理工学研究科連携准教授も兼
Eric Schmidt: This is how AI will transform how science gets done グーグル元CEO特別寄稿: AIは科学をこう変える 「クラウド」という言葉を提唱したグーグル元CEOのエリック・シュミットは今、人工知能(AI)は科学を再構築し、すべての人々に影響を及ぼすだろうと主張する。 by Eric Schmidt2023.07.10 238 35 今年も異常気象の夏が到来した。前例のない熱波、山火事、洪水が世界各国を襲っている。このような異常気象を正確に予測するという課題に対応するため、半導体大手のエヌビディア(Nvidia)は、人工知能(AI)を搭載した地球全体の「デジタルツイン」を構築している。 「アース2(Earth-2)」と呼ばれるこのデジタルツインは、数十テラバイトの地球システムデータを使用するAIモデル「フォーキャストネッ
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