〓先日、11世紀のシチリア島のエミール (侯) に 「イブン・アル=ハワース」 という人物がいて、この人の本名がわからないんじゃ、と申しゃげました。 〓以前、“アラビアのロレンス” のところで、現代のアラビア語圏における名前の構成について説明しましたが、これが、古い時代になりますと、もっと、格式高く、かつ、名乗り方も本格的でありました。端的に言うと、 正式な名前がやたらに長い のです。 〓また、その名乗り方も、現代の西欧式社会におけるような、個人を特定するための “システマティックな姓名方式” ではありません。で、ここで、ひとつ、演習のつもりで、 イブン・バットゥータ の名前を解析してみやしょう。というワケなんでござんす。 祖国 モロッコの発行したイブン・バットゥータの切手。ラテン文字の綴りが IBN BATOTA となっている。 【 イブン・バットゥータ 】 〓マルコ・ポーロに少し遅れ、