日本の大手メディアがアメリカの国内問題について詳しく報じたり、またはその現状について触れることはほとんどないように思う。 先月、NGOのオックスファムは、「少数の利益のために:政治権力と経済格差」という報告書を発表した。それによれば先進国と途上国の区別なく、前例のないほど格差が拡大しており、世界人口の1%の最富裕層が世界の富の半分を独占し、最富裕層85人の資産総額が世界人口の所得下位半分の総資産額に匹敵するという。 特にアメリカでは、金融危機後の2009年から12年に下層の90%が経済的に苦しくなった一方で、成長による利益の95%を上位1%の最富裕層が手にしたという。 12年のアメリカの貧困層(3人家族で年収約230万円以下)は4700万人で、絶滅の危機にあるのが中流階級である。過去30年間、世帯収入はほとんど増えていないため、インフレ率を考慮すればどんどん貧困層へと追いやられているからだ