世界の料理と、家族と仲間と、子育てとちょっぴり恋愛と(各国レシピ、オリジナルWebマンガ、小説、エッセイ) 「君はスパイスには詳しいですか?」 ラジャの質問に、冬一郎は首を振った。 「いえ。初めて見るようなものばかりです」 「でも、さすがにこれはご存知でしょう?」 ラジャは、台に並んだ数々の香辛料の中から、茶色い小枝のようなものを選んで、冬一郎に差し出した。 「粉状にしてある方がお馴染みかな。匂いをかけば分かりますよ」 冬一郎が小枝を鼻に近づけると、ふわりと、確かによく知っている匂いがした。ミカエルの、エッペルパイ(スウェーデン風アップルパイ)の香りである。 「あっ、シナモン、ですね」 冬一郎は思わず笑顔になった。 「甘くていい匂いだ。大好きです」 「その通り、ガラムマサラ(インドの家庭で作られるミックススパイス)の重要な材料です。では、これは?」 今度ラジャが選んだのは、緑色の種である。
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