夜明けとともに漁船で沖に出た。かすみがかった水平線上に、巨大な風車群がうっすらと浮かび上がってきた。海原に点々と、視界のはるか先まで連なる。デンマーク北部グレノ港から約1時間。船は同国最大のアンホルト洋上風力発電所の海域に入った。 ここは、国境を越えて送電網を張り巡らせ、再生可能エネルギーを域内でやりとりする欧州の、いわば最前線だ。 高さ82メートルの塔の先端で、長さ60メートルの3枚の羽根がゆっくりと回っている。2013年に稼働した計111基の総出力は40万キロワット(kW)。40万世帯分以上を賄える。 遠浅で強風の吹く北海では、沿岸国が規模を競い合うように大型洋上風力発電の開発に乗り出している。デンマークは15年、風力が電力需要の42%をカバーし、世界で最も高い比率を更新、発電量に占める割合も5割に達した。 だが、強風の日があれば、なぎの日もある。そんな気まぐれな「風任せ」で本当にやっ