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『自由』平成19年6月号 マクロ経済学という科学を捨てては重要国策の遂行は不可能だ 日本経済再生政策提言フォーラム会長 経済学博士 丹羽春喜 戦前の米国で超大軍拡を可能にしたもの 戦前の米国では、1930年代の大不況期の約10年間に生じた巨大なデフレ・ギャップによって、合計5000億ドルないし1兆ドルの潜在実質GNP(1929年価格評価)を失ったと見積もられています(ラーナー 著『雇用の経済学』第3章)。 その年の秋、ウォール街株式市場の暴落が大恐慌勃発の契機となったことで知られている1929年において、米国のGNP水準は1040億ドルでした。大不況が最もひどかった1933年ごろには、実質タームでそれが3割減の700億ドル(同じく1929年価格評価)となり、名目値ではもっと低くなりました。 その後、ルーズベルト政権のニュー・ディール政策でかなり上向いたとはいえ、30年代末でも、米国の実質G
昨日のエントリでギャグノンの主張を取り上げたブログエントリを幾つか紹介したが、その中に「Economists for Firing Larry Summers」というものがあった。これは名前の通りサマーズのオバマ政権からの解雇を訴えるブログで、複数の経済学者による共同ブログの体裁を取っているが、実際はソースティン・ヴェブレンをペンネームとする全米30位以内の経済学部の博士課程の学生が一人で運営しているものらしい。この“ヴェブレン”君は学部の卒業論文で日本をテーマにしたとのことで(cf. ここ、ここ)、日本については日本のリフレ派まがいの主張をたびたび行なっている。 たとえば、ギャグノンの論文を取り上げた12/5エントリでは、次のように書いている(拙訳)。 残念ながら、日本の中央銀行は10兆円より多くの策を講じるには保守的すぎる。悲しいことだ。 私が特に頭に来るのは、日本の金融関係のメディア
要旨インフレ目標政策は、ほとんどの先進国で採用されている標準的な金融政策の枠組である。日本はOECD諸国で唯一のデフレに陥っている国である。インフレ目標政策は、インフレを押さえるばかりか、デフレを克服しデフレに陥らせない効果もあり、デフレ対策として望ましい。インフレ目標政策には、効果がないという批判があるが、通貨発行増による金融緩和は同時に通貨発行益をもたらし、その支出効果を考えると、必ず物価は上昇する。一方、インフレ目標政策は、逆に物価上昇に歯止めがかからないという批判もある。そうならないように金融引締めを行えばよく、インフレ目標採用国でハイパーインフレになった国はない。インフレ目標政策によって、名目長期金利が上昇しバランスシートが毀損されるという批判もある。しかし、過剰な現金があるときはすぐには長期名目金利は上昇しない。大恐慌からの回復期でも長期名目金利は上昇しなかった。 インフレ目標
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