刑法188条に「礼拝所及び墳墓に関する罪」という規定がある。俗にいう「礼拝所不敬罪」。神社仏閣や墓所など、礼拝の対象となる施設に対し、公然と不敬な行為を裁く規定だ。 記憶に新しいところでは、写真家の篠山紀信氏が平成20年8月、東京都内の霊園でヌード写真を撮影したとして、同罪で略式起訴された。礼拝所に対し尊厳を汚す行為を取り締まるもので、6月以下の懲役もしくは禁固、または10万円以下の罰金が課せられる。 11月下旬、静岡市内のある寺院に対して不敬を働いたとして、同罪でこの寺の元修行僧が逮捕された。元僧侶が犯した罪は、笑って水で流せるような簡単なものではなかったようだ。宗教者 「自分も宗教者の端くれ。ふき取れないペンキや、物を壊すような暴力的な行為はしたくなかった」 県警静岡中央署に同罪で逮捕された諸星肇容疑者(37)の言い分だ。今でも「自称僧侶」と名乗り、宗教者の矜持(きょうじ)を示す同容疑