ブックマーク / newsweekjapan.jp (80)

  • ダウ「瞬落」、真犯人は超速取引

    得体の知れない乱高下は誰のせい?──100万分の1秒単位で数十億株を売買するHFT(高頻度取引)という金融業界の新たな「悪役」 09年3月に底値を付けたダウ工業株30種平均は70%近く回復し、今年4月26日には1万1205ドルまで戻した。この間、相場はおおむね順調で安定していた。だがその後、市場は津波に襲われる。ギリシャの債務危機が欧州全体の政府債務危機に波及しかねないことが明らかになった4月27日、ダウは213ドル下落し、それに続く17営業日のうち13日は一日の変動幅が100ドル以上に達した。 なかでも最悪だったのは5月6日の「フラッシュ・クラッシュ(瞬時暴落)」だ。ダウはものの数分で998ドルも暴落し、それから取引終了までに600ドル以上戻して、結局、前日比350ドル近い安値で引けた。 09年春に景気が回復し初めて以降、ほぼ影を潜めていた激しいボラティリティー(価格変動)が、うなりを上

    jummai
    jummai 2010/06/30
  • iPadは新聞も雑誌も救わない

    インターネット時代が訪れる前の話。イタリアの哲学者ウンベルト・エーコは、アップルとマイクロソフトの違いをカトリックとプロテスタントの違いに例えた。 マイクロソフトのパソコン用OS(基ソフト)MS-DOSを基にしたオープンな世界では、「救済」に至る道も百人百様。だが、唯一の正統な教会たるアップルのマックOSの世界では、「信者は何から何まで教会の指示に従わなければならない」。 今や「キリストのタブレット」とまで呼ばれるほどのiPadの好調とともに、アップルのカトリック的傾向は加速しているようだ。 発表前のiPadは、単なる企業秘密というより宗教的神秘に覆われていた。宗派の指導者たるアップルのスティーブ・ジョブズCEO(最高経営責任者)は、今や十字架と同じくらい認知度が上がったアップルロゴの下に集った「ミサ」で、彼の「奇跡的で革命的な」新製品に祝福を与えた。 この比喩に従えば、iPad向けにコ

    jummai
    jummai 2010/06/22
    『ウンベルト・エーコは、アップルとマイクロソフトの違いをカトリックとプロテスタントの違いに例えた』
  • 日本の捕鯨票買収疑惑と怪しい暴露報道

    鯨の町 映画『コーブ』でイルカ猟とともに告発された和歌山県の太地町。 400年前から捕鯨を続けてきた Issei Kato-Reuters 1986年に国際捕鯨委員会(IWC)で禁止された商業捕鯨の再開が、日の悲願であることは秘密でも何でもない。その願いを叶えるために、IWC加盟国の票を買ったという疑惑があることも。だが今回、イギリスの高級紙タイムズは6月13日付けの日曜版で、日が援助と引き換えに少なくとも6カ国の票を買った「証拠」を得たと報じている。 日はIWC加盟国の買収疑惑を否定している。だが、捕鯨を支持する複数の政府の関係者は、サンデー・タイムズ紙のカメラの前で、捕鯨を支持したのは日から多額の援助があったからだと認めた。1つの国の代表は、自国の領海に鯨がいるかどうかさえ知らないと言い、他の国々には海すらなかった。 セントクリストファー・ネビスやマーシャル諸島、キリバス共和国

  • スタジアムは燃えていない

    カメルーンには勝ったけれど、この試合ではっきりわかったのは、南アフリカに来ている日人が非常に少ないということだ。 僕が買ったチケットは、FIFA(国際サッカー連盟)からそれぞれの出場国に割り振られた枠のものだ。周辺のブロックも丸ごと日人ファン向けに売られているはずなのだけど、これがもう当にガラガラなのだ。 バッグを隣の席に起き、前の座席に足を乗せて見る。こんなワールドカップは初めてだ。まだ芝生だったころの神宮球場の外野席みたいな、まったりした雰囲気である。 日のファンは数千人はいたのだろうが、現地に住んでいる人たちも多かったようだ。僕がハーフタイムに話をした日人男性の2人組は、どちらもヨハネスブルクに住んでいて、「日人会の人がたくさん来ている」と言っていた。話を聞いた男性の1人は、サッカー観戦自体が初めてだという。「だから応援の仕方もわからないんですよ」 昨夜からホテルのネット

  • 東京の無駄な空間に自然を

    今週のコラムニスト:ジャレド・ブレイタマン 「東京が緑の都市だと当に思ってる?」「なぜ東京のいい面だけを取り上げるの?」――東京に住む日人からも外国人からも、よくこんな質問を受ける。 私は、東京という雑然とした大都会の住民が緑を愛し、ほんの小さなスペースにも緑を植えていることに注目し、「Tokyo Green Space: 東京の小さな緑」と名付けて研究を行っている。最近では、都市の公共スペースをうまく活用することが人にとっても自然にとっても有益であるという認識が高まっている。それでも上記のような質問を受けるということは、理想と現実にはまだ差があるということだ。 東京が素晴らしいのは、一般の人たちが工夫を凝らして街に緑をもたらしていることだ。 だが一方で、公的機関や大手不動産会社、一般の土地所有者が土地を有効利用せず、デッドスペースを生んでいることも無視できない。なぜこうした無駄な空間

    東京の無駄な空間に自然を
  • なぜ「フットボール」を「サッカー」と呼ぶ?

    このスポーツは何?  アメリカ、カナダ、オーストラリアではサッカー(6月5日、ヨハネスブルグで行われたアメリカ対オーストラリアの親善試合) David Gray-Reuters ワールドカップ(W杯)南アフリカ大会が日時間の今夜、開幕する。今週末に対戦するB組のアメリカ代表とイングランド代表。同じ英語を公用語としながら、このスポーツをそれぞれsoccer(サッカー)、football(フットボール)と異なる呼び名を使う2国。世界では「フットボール」が一般的なのに、なぜアメリカ人は「サッカー」と呼ぶのだろうか。 サッカーは「アソシエーション・フットボール(協会式フットボール)」の省略形だ。サッカーアメリカンフットボールは両方とも、19世紀初頭のイギリスで上流階級が通う学校で人気のあったスポーツ群から派生し、大西洋を渡ってアメリカに広まった。このスポーツ群に共通していたのは、対戦相手の陣地

  • とりあえず、行ってきます

    ワールドカップに行くのは4回目なのですが、現地に行くというだけで驚かれる大会は初めてです。 え、南アフリカ、行くんですか。実際に行くっていう人に初めて会いましたよ。治安、大丈夫なんですか? あちらじゃ、マシンガンが1万円で買えるらしいですよ。日本代表のキャンプ地にも、猛毒コブラがいるらしいですよ。だいたい、日人に合う事とかってあるんですかね。ホント、気をつけてくださいよ......。 日戦は見るんですか? え、3試合全部見るんですか! でも、今回はだめでしょうね。やっぱり岡ちゃんだからですかね。なんで日人って、決定力不足なんでしょうね。最初の相手、カメルーンですよね。アフリカ人の身体能力って、ハンパじゃないですものね。オランダは優勝候補なんでしょ。最後のデンマークは、みんな背が高いですもんね......。 「南アフリカは危ないらしい」「日本代表はだめらしい」。大会を前に日には、そ

  • 高速の海流に乗って夏にも大西洋岸に到達か

    メキシコ湾での原油流出事故が最悪のシナリオに陥りつつあることを政府機関の科学者が認めた。早ければ夏にも、原油はメキシコ湾岸をはるかに越え、大西洋岸に沿って何千キロも広がり、さらに外洋に達する可能性が高いという。 大気研究所(NCAR)の科学者らがコンピューターの海流モデルでシミュレーションしたところ、メキシコ湾の高速の海流「ループカレント」に原油が一旦流れ込めば、数週間以内にフロリダ半島の大西洋沿岸に到達する可能性が高いとの結論に達した。さらにメキシコ湾流に乗って北に広がり、ノースカロライナ州のハッテラス岬に到達、そこから東に向かって外洋に拡大しかねないという。 「われわれが知る限り、この環境災害の範囲はフロリダのずっと先まで広がるだろう」と、NCARのシンティ・ピーコックは述べた。「その影響はまだ分からない」 シミュレーションは、事故現場で流れ出た液体がどのように拡散するかを計算したもの

  • マッキントッシュよ、安らかに眠れ

    ジョブズCEOは世界開発者会議でパソコン「マック」の話題にまったく触れなかった。もはやアップルの未来にとって必要ないのだ 親愛なるマック様 こんな話をするのは辛いが、君自身ももう気づいているのではないだろうか。気の利いた言い方が思いつかないから単刀直入に言おう。君はもうおしまいだ。 ごめんよ。こんなことを言えば君が傷つくのは分かっている。それでも真実には正面から向き合うべきなんだ。アップルのスティーブ・ジョブズCEO(最高経営責任者)は君との関係に終止符を打った。それも6月7日のアップル世界開発者会議(WWDC)の席で。 スティーブが何を言ったか知りたい? 彼はタブレット型端末iPad電子書籍アプリiBooksやゲームソフトについて語った。それから新型のiPhone4のことを。 新しい携帯電話向けOS(基ソフト)についても延々と語った。これまでiPhone OSと呼ばれてきたものだが名

    jummai
    jummai 2010/06/10
  • 救出はペリカンをもっと苦しめるだけ?

    2度目の地獄 野鳥にとって洗浄作業は油まみれになるのと同じくらいの苦痛を伴う(6月7日、ルイジアナ州フォートジャクソンの救護施設) Sean Gardner-Reuters 数としては、まだ決して多くない。米メキシコ湾の原油流出事故による自然界への影響が懸念されるなか、6月6日時点で油まみれになった野鳥が820羽、海亀は289匹が海から引き上げられた。だが、その大半は既に死んでいた。 今回の事故はアメリカ史上最悪の規模で、油の除去作業も夏までかかりそうなことを考えると、今後も油まみれの野鳥が次々と発見されるのは確実だ。救助に当たる人々は過去の原油流出事故と同じように、何とかして生存する動物を保護し、洗浄しようと試みる。 しかし、そんな努力に当に意義があるのだろうか。科学者のなかには首を傾げる者もいる。動物にとって、捕獲され洗浄されるという体験は、油の中に放り込まれるのと同じくらい大きなト

  • ゲーツ国防長官を拒んだ中国のウラ事情

    ゲーツ米国防長官は中国との軍事関係を修復するため、6月3日からシンガポールを訪れた後に北京訪問を計画していた。だが中国に「都合の良い時期ではない」と断られた。鼻であしらわれた形だ。米中の軍事交流は、米政府が台湾への武器売却を決めて以来冷え切ったままだが、中国側にはより複雑な事情があるのかもしれない。 外交専門誌フォーリン・ポリシーは、米当局者の話として「中国共産党内部に軋轢が生まれている」と伝えた。「アメリカにより強硬に挑むべきとする軍を中心にした勢力と、2国間関係の改善をまじめに望む勢力があるが、強硬派が勢いを増している」という。 韓国の哨戒艦沈没事件によって米中関係はさらにややこしくなった。国連による北朝鮮への制裁に中国が反対の立場を取る一方で、アメリカは制裁を求める韓国への支持を表明した。 そこへ北朝鮮側がクセ球を投げた。「金正日の非公式報道官」と呼ばれる朝米平和センターの金明哲所長

    jummai
    jummai 2010/06/09
    『朝米平和センターの金明哲所長が4日、中国海軍の調査によると韓国の哨戒艦を沈没させたのはアメリカの機雷だった可能性があると、香港のアジア・タイムズ紙への寄稿で示唆』
  • やっぱりiPhone4は「失敗作」だ

    期待はずれ 事前に情報が漏れていたせいもあり、新型iPhoneはサプライズを演出できなかった Robert Galbraith-Reuters 何の面白みもない、というつもりはない。アップルのCEO(最高経営責任者)、スティーブ・ジョブズが6月7日に発表したiPhoneの新機種「iPhone4」のことだ。 この新型スマートフォンにはさまざまな興味深い改良が加えられており、普通のIT機器メーカーだったら「大変革」をアピールできる代物だ。だが、アップルは普通のIT機器メーカーではない。既存の製品を改良しただけでは、期待はずれに感じられてしまう。 酒に酔ったアップル関係者がシリコンバレーのバーにiPhone4の試作機を置き忘れたせいで、新機種に関する情報がすでに漏れ伝わっていたことも、気分が盛り上がらない要因だ。情報漏洩の影響を否定したいジョブズは、後方の大型スクリーンにiPhone4を映し出し

  • 芸術家の酒アブサンに乾杯!

    とにかく強くて頭を麻痺させるとされた伝説の酒アブサンが、アメリカで再び解禁されてから3年がたつ。しかし、それで凶悪犯罪が増えたとは聞かないし、優れた芸術が増えたとも思えない。らんちき騒ぎが増えたという警察の報告もない。芸術家たちがアブサンをがぶ飲みしていた19世紀末~20世紀初頭にかけての時期とは、だいぶ様子が異なる。 かつてニューオーリンズは、フランスと並ぶアブサンの大消費地だった。20世紀初めにバーボンストリートを訪れた旅行者は、「アブサンを飲んでハイになった若者たちが(アメリカ最古のバーとされる)オールド・アブサンハウス近くのトタン屋根から転げ落ちてきた」と記している。 フランスではアブサン常飲者のジャン・ランフレーという男が、酔った揚げ句に家族全員を惨殺。この事件は「アブサン殺人事件」として衝撃を与え、1915年にフランスがアブサン禁止に踏み切る大きな原因になったとされる(アメリカ

    jummai
    jummai 2010/06/04
  • BPトップはPR史上最悪の失言男

    海は広いから大丈夫? ヘイワードは、原油流出のダメージを小さく見せようとしてかえって傷を広げている(5月28日、メキシコ湾で) Sean Gardner-Reuters 企業が世間の非難を浴びているときに、会社のトップが不適切な発言をして火に油を注ぐケースは、昔から枚挙に暇がない。投資銀行大手ゴールドマン・サックスのロイド・ブランクファイン会長は昨年、同社が金融危機の一因になったことについて問い質され、自分たちは「神の仕事」をしていたと発言してひんしゅくを買った。 もっとも、メキシコ湾で原油流出事故を起こした英石油メジャー、BPのトニー・ヘイワード最高経営責任者(CEO)の失言癖に比べれば、ブランクファインの発言すらかわいく見える。 4月20日に発生した原油流出事故では、作業員11人が死亡。メキシコ湾は錆び色の原油で覆われ、一帯の生態系と沿岸部の経済は壊滅的な打撃を受けている。 BPは当初

  • グーグルがウィンドウズ使用を停止

    中国土でのネット検索サービスから撤退したグーグルが、中国ハッカーが同社のネットワークに侵入して知的財産を盗んだと発表した当初、世間の関心は中国の反政府活動家の電子メールのアカウント情報に集中した。しかし今では、グーグルは企業秘密のソースコードも盗まれたと信じられている。 なぜそんなことが可能だったのか。ハイテク情報サイトのCNETなどが報じているように、ハッカーたちは、グーグル社員が使うマイクロソフトのウィンドウズOS(基ソフト)やインターネット・エクスプローラの脆弱性を攻撃することでグーグルのシステムに侵入したのだ。 ■グーグルらしい徹底ぶり 同じ過ちは犯さない。グーグルは今、社内からマイクロソフトのソフトを一掃しようとしている。グーグルのある社員は英フィナンシャル・タイムズ紙にこう語った。「もうウィンドウズは使わないことになった。安全対策だ」 今年まで、グーグルの社員はウィンドウ

  • 野放しネット選挙、じわり規制の波

    ソーシャル・メディアは長い間、政治的策略の温床になってきた。だが米連邦選挙委員会(FEC)は、怪しげなオンライン活動の大半──偽の「草の根運動」的な選挙運動、正体不明のツイッター投稿、フェースブックの匿名ページなど──に伝統的な規制を適用してこなかった。 こうした抜け穴が、少なくとも州レベルではふさがれるかもしれない。11月の中間選挙を控え、4つの地方選管が取り締まりを検討している。立候補者やその選挙運動団体によるオンライン広告やソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)の使用を初めて制限しようとしているのだ。 規制の動きが始まったのは昨秋のこと。フロリダ州セントピータースバーグのある市長選候補者が、グーグルで対立候補を検索すると出てくる自身の広告に広告主を記していなかったため、250ドルの罰金を科せられた。 続いてウィスコンシン州が、オンライン広告の指針を作るよう州政府責任委員会に

    jummai
    jummai 2010/06/01
  • 女と男は食も別世界?

    作家ケイト・モーゼスの母親は、派手好きで芝居がかった女性だった。彼女は子供たちに「人前では私のことをベビーシッターだと言いなさい」と命じていた。 母の愛に飢えていたモーゼスは、お菓子で心の空白を埋めようとした。最初はべることで、後には自分で作ることで。「甘い物を探し回った」と、モーゼスはレシピ満載の新しい回想録『ケークウオーク』で振り返っている。 ひとことで言えば、愛らしいだ。フードライターのキム・セバーソンの新刊書『スプーン・フェド』も、「グルメ」誌の名物編集長だったルース・ライチュルの回想録も同様の印象を受ける。 愛らしくないがいい? それならシェフのスペンサー・ウォーカーが書いた『セックス目当ての料理──素人コックのアレをやるためのガイド』はいかがだろう。 がテーマの回想録のリストを見ると、女性はべ物を愛の代用品に使い、男性はセックス自慢の手段にしているような気がしてくる(

    jummai
    jummai 2010/06/01
  • 歴史家が垂涎するツイッター

    4月14日、米連邦議会図書館がツイッターに投稿されたツイート(つぶやき)を、サービスが開始された06年にまでさかのぼってすべて保存すると発表した。 この方針に抗議の声が上がって分かったことがある。ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)に関して世間では今も2つの神話が信じられている──書き込みは私的なもので公のものではない、書き込みの内容はどうでもいいことばかり。 SNSとの関わりはアルコール依存症に陥るようなものだ。最初は恐る恐る近づくが、ひとたび友達やフォロワーを見つけると熱心に書き込みを始め、やがて抑制を失ってリスクを冒すようになる。 例えば先日、オーストラリアの医学生がテレビでバラク・オバマ米大統領を見ながら人種差別的な内容をツイッターに書き込み、所属政党から除名された。彼はこうつぶやいた。「テレビで猿を見たけりゃ野生動物番組を見るね」 ビッグブラザーの台頭? 彼が例外とい

  • 北朝鮮の合宿も中止で泣くジンバブエ

    期待先行 W杯に出場する各国代表の合宿に備えて改装中のスタジアム(09年6月、ジンバブエの首都ハラレ) Philimon Bulawayo-Reuters サッカーワールドカップ(W杯)南アフリカ大会を3週間後に控え、隣国ジンバブエはその経済波及効果にあやかろうと準備に大わらわだ。 ロバート・ムガベ大統領とジンバブエ政府関係者は、この一大イベントが、観光や各国代表チームの合宿需要などで近隣諸国にも景気浮揚効果をもたらしてくれるとを期待している。南アフリカをめがけて世界から集まるサッカーファンは、すぐ北のジンバブエに足を延ばすだけで野生動物の王国や世界3大瀑布の1つであるビクトリアの滝を堪能できる。スタジアムの改装を行うなど、現地で合宿を行う各国代表の誘致にも力を入れた。 だが、今のところ期待したような観光客や選手は見当たらない。ジンバブエの観光大臣ウォルター・ムゼンビが4月、誘致に成功し

  • テキサス流、教育の殺し方

    共和党支持者が多い私の出身地テキサス州は今、保守化が加速する「真っ赤な」州になっている。それを考えれば、州内の公立高校の社会科カリキュラムの見直しをめぐる騒動は、単なる政治的な動きと片付けても問題ないだろう。 選挙で選ばれた委員15名から成るテキサス州教育委員会は、過半数近くが超保守派。彼らは一丸となって、社会問題を中心にして考えられた世界観を推奨している。 同委員会が巻き起こしている論議はほかにもある。その1つが性教育を骨抜きにしていること。同州の保健体育の教科書からは「お子様向け」でない内容がすべて削除されている(体の自己診断コーナーに女性の胸の絵を掲載するのも駄目だ)。キリスト教の天地創造説を教えず、進化論だけを教えるのは適切ではないという主張も物議を醸している。 だがこうした論議は前座のようなもの。社会科カリキュラムの見直しこそ、ヘビー級の大一番だ。この戦いには、アメリカ中が軽蔑の