「銀行の話を聞くぐらいなら歯医者に行った方がまし、とミレニアル世代の71%が考えている」――。7~8年前、米国におけるこんな調査結果が業界内をにぎわせたことがありました。歯医者を比較対象にしているあたりに少なからず恣意を感じますが、顧客と良好な関係を築くことが銀行にとっていかに難しいかを分かりやすく表現しています。 なぜ、このような話を持ち出したかというと、2023年は銀行が個人顧客との接点について真剣に再考を迫られる年になるとみているからです。発端となるのは、2023年4月にも解禁される見通しのデジタル給与。給与は銀行口座に振り込まれるもの、という常識が変わろうとしています。 キャッシュレスアプリが給与の受け皿に 労働基準法は労働者への給与を原則現金払いと定めています。1975年に銀行口座への支払いが正式に認められ、1998年には証券口座が加わりました。さらに2023年、キャッシュレスア