祖国ではほとんど知られていない女性に、イギリスの女王が勲章を贈るのは稀有なこと。だが勲章を贈られた田村佳子と笹本妙子は、まさに稀有な存在だった。 神奈川県に住む2人はこの30年、第2次大戦中に日本に収容されていた戦争捕虜に関する情報を集めてきた。記録を隠し、過去の罪を忘れようとする風潮のなか、事実の究明は困難を極めた。 元捕虜たちの苦悩を癒やすため情報収集に「うむことなく献身」してきた2人に、駐日英大使館は06年5月、女王に代わって名誉大英勲章MBEを授与した。謙虚な2人は、自分たちの所属する団体「POW(戦争捕虜)研究会」全体に対する叙勲と受け止めている。 研究会ネットワークの長年の調査が実り、昨年ようやく英語のデータベースを公開できた。収容所で死亡した捕虜の記録など、貴重な情報が提供されている。 イギリスのワーウィックに住むリチャード・ブルッカーもその恩恵を受けた1人だ。ブルッカーは日
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