2016年07月03日07:13 カテゴリ本 近代世界システムの終わりの始まり イギリスが「産業革命」と民主政治によって繁栄したという類の歴史観は、最近では本書も示すように史実によって否定された。その覇権を可能にしたのは、ブローデルが世界=経済と呼んだヨーロッパ独特の水平分業システムだ。 中国やオスマンなどの世界=帝国では国家と経済が一体だったので、その支配地域を超えて貿易を行なうことができなかったが、バラバラの国家が分立していたヨーロッパでは、国境を超えた商業が早くから成立し、政教分離によって宗教的に敵対する国家間でも通商が行なわれるようになった。 携帯電話でいえば、世界=帝国ではガラケーのようにハード/ソフトが一体だが、世界=経済ではAndroidのように同じOSをサポートしていれば、ハードウェアは何でもよい。これがウォーラーステインのいう近代世界システムの最大の特長だ。 ここでは異な
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