ブックマーク / natrom.hatenablog.com (230)

  • 因果関係も不明なのに「ワクチンの副反応が出やすい素因」を特定できるはずがない - NATROMのブログ

    2023年8月からX(旧Twitter)にて、元杏林大学保健学部准教授の平岡厚さんと対話を続けています。平岡さんは「HPVワクチンの深刻な副反応・薬害としての自己免疫性脳症が、相当規模で存在していると推測」しておられます。具体的にはワクチン接種者の「数千人に1人」が「POTS, CRPS, ME/CFS, 繊維筋痛症などの症状が入れかわり立ちかわり現れ、認知障害なども絡む」症状を呈するとしています。 平岡さんの主張の一つに、「接種を受けると副反応が出やすい素因」を持つ人をワクチン接種対象から外すことで問題解決が可能になるというものがあります。 →接種を受けると副反応が出やすい素因を持つ人がいることが分かるので、そういう人を接種対象から外す方向で、問題解決が可能になるのではと思います。私は、「HPVワクチンを接種すると重篤な副反応が出やすい素因を持つ人が接種を受けたことに起因する現象が起きて

    因果関係も不明なのに「ワクチンの副反応が出やすい素因」を特定できるはずがない - NATROMのブログ
    k-takahashi
    k-takahashi 2024/04/30
    “ワクチンを接種した人とワクチンを接種しない人とを比較した大規模な研究ではことごとく、HPVワクチンと「重篤副作用とされる症状」との因果関係は証明されませんでした”
  • HPVワクチンの「相当規模」の薬害が存在するのなら、WHOやCDCがなぜ無視しているのか、合理的な理由を説明して欲しい - NATROMのブログ

    2023年8月からX(旧Twitter)にて、元杏林大学保健学部准教授の平岡厚さんと対話を続けています。平岡さんは「HPVワクチンの深刻な副反応・薬害としての自己免疫性脳症が、相当規模で存在していると推測」しておられます。具体的にはワクチン接種者の「数千人に1人」が「POTS, CRPS, ME/CFS, 繊維筋痛症などの症状が入れかわり立ちかわり現れ、認知障害なども絡む」症状を呈するとしています。 一方で、HPVワクチンは十分に安全で効果的というのが世界中の専門家のコンセンサスです。平岡さんの主張は主に有害事象報告に基づいたものですが、■有害事象報告ベースでは因果関係の推論はできません。有害事象報告ベースとは異なるバイアスの小さい研究では、ワクチンを接種していない集団と比べて、ワクチンを接種した集団において、有害事象として報告されたさまざまな疾患、たとえばPOTS(体位性頻脈症候群)、M

    HPVワクチンの「相当規模」の薬害が存在するのなら、WHOやCDCがなぜ無視しているのか、合理的な理由を説明して欲しい - NATROMのブログ
    k-takahashi
    k-takahashi 2024/02/29
    “「パブリッシュバイアス」理論をはじめとしたご自身の論法を使えばB型肝炎ワクチンによる薬害も否定できなくなってしまうことを平山さんにご理解していただく”
  • 撤回された論文は根拠にならない - NATROMのブログ

    2023年8月からX(旧Twitter)にて、元杏林大学保健学部准教授の平岡厚さんと対話を続けています。HPVワクチンは安全で効果的というのが世界中の専門家のコンセンサスですが、平岡さんはHPVワクチンの深刻な副反応・薬害が相当規模で存在すると主張しています。 HPVワクチン接種の有無にかかわらず血液脳関門の異常で害が起きるのは当然 平岡さんが提示する仮説の一つは「日常的に抗体値を高くさせられている人は、血液脳関門に異常が生じた場合、通常なら中枢神経系に入らない物質が侵入して悪さをするのでは」というものです*1。しかし、私のみるところでは平岡仮説はとくに根拠がない思い付きに過ぎないように思われました。 「日常的に抗体値を高く」するのはHPVワクチンだけでなく、他のワクチンだって同じです。B型肝炎ワクチンはHBs抗体価を高くしますし、麻疹ワクチンは麻疹ウイルス抗体価を高くします。なんならワク

    撤回された論文は根拠にならない - NATROMのブログ
    k-takahashi
    k-takahashi 2024/01/31
    “科学的議論では、新たな証拠が出てくるまでそのような仮説を引っ込めます。反論がなかったかのように仮説を主張し続けるのは科学的とは言えません”
  • 有害事象報告ベースでは因果関係の推論はできない - NATROMのブログ

    平岡厚さんとHPVワクチンの安全性に関する対話をはじめたわけ 2023年8月からX(旧Twitter)にて、元杏林大学保健学部准教授の平岡厚さんと対話を続けています。平岡さんは『HPVワクチン論争を再考する 推進派の主張の問題点を中心に』といった和文論文にて「HPVワクチンの深刻な副反応・薬害としての自己免疫性脳症が、相当規模で存在していると推測」しておられます。 一方で、HPVワクチンは安全で効果的というのが世界中の専門家のコンセンサスです。私の知る限りではHPVワクチンの定期接種が薬害の疑いのために中止になった国はありません。日においても、定期接種は中止にはなっておらず、積極的な勧奨が差し控えられていた過ぎません。それでもWHOから「乏しい証拠に基づいた政策決定」だとして名指しで日は批判されました。その後、日でも2022年から積極的勧奨は再開されました。「相当規模の薬害」の存在を

    有害事象報告ベースでは因果関係の推論はできない - NATROMのブログ
    k-takahashi
    k-takahashi 2023/11/30
    “有害事象報告ベースで因果関係を論じるといった不適切な方法を使えば、任意のワクチン、任意の薬について、危険性を主張することができます”
  • 和田秀樹先生、検診を受けていないほうが肺がん死が少ない研究ってどの研究ですか? - NATROMのブログ

    先日、『80歳の壁』など多くの著作で知られる医師の和田秀樹先生とX(元Twitter)で対話させていただく機会がありました。高血圧による脳出血のリスクや和田先生が自身のクリニックで提供している高額な医療のエビデンスについて質問いたしました。■和田秀樹氏に答えていただきたい3つの質問にまとめています。和田先生からは「これまでのやりとりを公開して、このような短いバージョンでない形で反論させていただきます」とのお返事をいただきました。まことにありがとうございます。約1か月間が経ちますが、いまだに「短いバージョンでない形での反論」がありません。もちろん、医学的正確さを心掛けれるならばそんなに早くは反論できないということもあると承知しています。不正確でもいい文章なら気軽に量産できます。私には信じがたいことですが、医学的に不正確な内容のを大量に出版する医師もいます。読者の健康と命を印税に替えているよ

    和田秀樹先生、検診を受けていないほうが肺がん死が少ない研究ってどの研究ですか? - NATROMのブログ
    k-takahashi
    k-takahashi 2023/08/29
    “質問4:検診群において肺がん死が多いという「アメリカの喫煙者を対象とした大規模な調査」の詳細、および、肺がん死の増加が放射線被ばく由来だと判断された根拠について教えてください。”
  • 世界はゆっくりと良くなっている 日本の年齢別がん死亡率の推移 - NATROMのブログ

    において、がんは死因順位の第1位である。がんにかかる人やがんで死ぬ人をゼロにすることはできないが、医学は進歩し、予防法も治療法も改善している。全世界でも日でも、年齢別がん死亡率や年齢調整がん死亡率は徐々に減少している。ここでは日の年齢別がん死亡率の推移をグラフで紹介しよう。引用はすべて■Cancer Over Timeから。 日の小児のがん死亡率は減少している すべてのがんの死亡率でみると、日の小児(0歳~14歳)のがん死亡率は、男女ともに1970年ごろをピークに、以降は減少し続けている。小児には白血病やリンパ腫などの血液系の悪性腫瘍が多い。これらのがんに対する化学療法(抗がん剤治療)は大きく進歩している。 日の0~14歳の全がん粗死亡率(10万人年あたり)の推移、男女のAYA世代のがん死亡率は減少している AYA世代とはAdolescent and Young Adu

    世界はゆっくりと良くなっている 日本の年齢別がん死亡率の推移 - NATROMのブログ
    k-takahashi
    k-takahashi 2023/05/31
    “先進国における粗死亡率の傾向の違いは高齢化の程度の違いを反映しているに過ぎない”
  • ABO式血液型の遺伝様式をめぐる2つの仮説 - NATROMのブログ

    オーストリアのカール・ラントシュタイナーによってABO式血液型が発見され、輸血医学の基礎が築かれたことは有名だ。1930年にラントシュタイナーはノーベル医学・生理学賞を受賞した。輸血の歴史については ■「血液は生理塩水で代用できるから輸血は必要ない…」そんな荒唐無稽なデマの裏事情を医師が解説 動物の血を輸血した昔から、人の血を安全に輸血できるようになった今まで | PRESIDENT Online(プレジデントオンライン) に書いた。輸血とは直接は関係ないが、ABO式血液型の遺伝様式が決定された歴史も興味深い。私は、もう20年以上も前、大学院生のころにはじめて知ったのだが、じつにエレガントに問題を解決しており、いつかこの話を書きたいと思っていた。数式がたくさん出てくるこの話は難解だが、個人ブログだし、少しぐらい難しくてもいいだろう。細かい数式はわからなくてもなんとなく雰囲気を感じていただ

    ABO式血液型の遺伝様式をめぐる2つの仮説 - NATROMのブログ
    k-takahashi
    k-takahashi 2023/02/09
    『遺伝子型を調べるどころか表現型の検査にすら一定の誤りがあった時代に、正しいABO式血液型の遺伝様式を示したのがBernsteinの業績』
  • 「血圧200を放っておいたが問題なかった」などと放言する医者を信じてはいけない! - NATROMのブログ

    プレジデント2022.10.14号で「信じてはいけない!健康診断、医者、クスリ 最新版・コロナ対応 病院に頼らない生き方」という特集が組まれ、養老孟司氏と和田秀樹氏の対談が掲載されました。その対談から和田氏の発言部分を引用したツイートが6000件以上のリツイート、1.6万件以上の「いいね」がされました。 これ、もう答え出てるじゃん。 プレジデント 2022.10.14号 和田秀樹氏 pic.twitter.com/AW5M7xfsCK— のりのりもふもふ (@SFtFQjTAUuQzPVF) October 6, 2022 引用された和田氏の発言は「財政破綻した夕張市が結果的に社会実験になりました。市民病院が廃院になって、19床の診療所だけになり、しかも無料バス廃止で通院に1000円かかるようになり、多くの人が医者にかかれなくなった。市民の健康状態は悪化するのかと思われたが、ほとんどの病気

    「血圧200を放っておいたが問題なかった」などと放言する医者を信じてはいけない! - NATROMのブログ
    k-takahashi
    k-takahashi 2022/10/24
    『高血糖や高血圧を放置して何も問題がなかったのならともかく、結局は病院に頼ることになったのに、「病院に行かないほうが病気にならない」などと夕張市の事例を好意的に紹介するのは浅はか』
  • 興和のイベルメクチン臨床試験は失敗ではない - NATROMのブログ

    イベルメクチンはもともとは寄生虫に対する薬だったが、試験管内で抗ウイルス効果が確認され、新型コロナに効果があると期待する医療者もいた。興和株式会社が新型コロナウイルス感染症に対するイベルメクチンの第3相試験を行っていたが、このたび、主要評価項目に統計的有意差が認められなかったとの発表があった。 ■興和/新型コロナウイルス感染症患者を対象とした「K-237」(イベルメクチン)の第Ⅲ相臨床試験結果に関するお知らせ 軽症の新型コロナ患者約1000人を対象に、イベルメクチン0.3~0.4 mg/kgを1日1回3日間経口投与した群とプラセボ投与群とにランダムにわけ、168時間(7日間)経過するまでに臨床症状が改善傾向にいたる時間を二重盲検下で評価した。興和の発表によれば、実薬群およびプラセボ群いずれの群でも投与開始4日前後で軽症化し、有意差は認められなかった。 医学界に与えるインパクトは小さい。

    興和のイベルメクチン臨床試験は失敗ではない - NATROMのブログ
    k-takahashi
    k-takahashi 2022/09/27
    『適正に施行され結果が発表された臨床試験は、有意差が認められなかったとしても失敗ではない』『「本試験の条件下ではイベルメクチンの効果を確認できなかった」という結果が得られたのは一定の成果である』
  • 抗がん剤を否定する自称医師のツイートへの注意喚起 - NATROMのブログ

    抗がん剤治療は臨床的に効果が確認された標準治療である ある自称医師が術後補助化学療法(がん組織を外科的に切除した後の抗がん剤治療)を否定するツイートしており、現時点でリツイートは1600件を超え、いいねも7000件を超えています*1。ですが、かの自称医師のツイートは誤りです。いくつものがんで、術後補助化学療法ががんの再発を減らすことが臨床試験で確認されており、世界的に標準治療となっています。たまに「抗がん剤治療が行われるのは日だけ」というデマを散見しますが、たとえば"adjuvant chemotherapy"(術後補助化学療法)で検索してください。いまは自動翻訳の精度も上がったので騙される人は減っていると思います。 自称医師のツイートは「がんの手術後に微小な取り残しがあるといけないと医師は抗がん剤を勧めるが、がん細胞はふだんから1日5000個はできているのだから全員に抗がん剤を使わなけ

    抗がん剤を否定する自称医師のツイートへの注意喚起 - NATROMのブログ
    k-takahashi
    k-takahashi 2022/07/29
    『術後補助化学療法を否定するツイートをした自称医師は、免疫逃避機構のことを知らないヤブ医者か、あるいは、知っていながら意図的に嘘をついた詐欺医者かのどちらかです』
  • 「がん死亡数が増え続けているのは先進国では日本だけ」は誤り - NATROMのブログ

    がんに関する不正確な情報の一つに「がん死亡数が増え続けているのは先進国では日だけ」「がん死亡数は欧米では減っているが日だけ増加し続けている」というものがある。「抗がん剤は害しかない」「がん検診は無駄だ」「残留農薬や添加物が多い事が原因だ」とかいったニセ医学的な主張と同時に言われていることもしばしばだ*1。 日のがん死亡数増加の主因は高齢化である。他の要因が変わらなくても高齢者の人口が増えれば、がんで死亡する人の数は増える。生活習慣や公衆衛生、医療環境が改善され、他の病気でなかなか死ななくなる一方で少子化が進み、人口全体が高齢化すると、相対的にがんの死亡数や粗死亡率*2は増える。 一方、高齢化の影響を補正した年齢調整死亡率は、他の先進国と同じく、日でも減少している。ただ、「がん死亡数が増え続けているのは先進国では日だけ」というデマに対抗して高齢化の影響を持ちだすと、「他の先進国で

    「がん死亡数が増え続けているのは先進国では日本だけ」は誤り - NATROMのブログ
    k-takahashi
    k-takahashi 2022/06/27
    『がん死亡数が増えている先進国は日本だけではない』
  • 患者家族とのトラブル - NATROMのブログ

    埼玉県ふじみ野市において、訪問診療をしていた医師が患者の息子に散弾銃で撃たれ死亡するという事件が起きた。患者である母親が亡くなったことがきっかけになったという。事件については報道でしか存じ上げないし、これから新事実が出てくるかもしれない。この記事は、医療職と患者家族の関係の難しさの一端について知ってもらうのが目的であって、個別の事件において真相はこうだったのかもしれないといった推測ではない。 また、以下に述べる事例は、私の見聞きした経験をもとに改変したものであり、事実そのままではない。仮に当事者が目にしたとしてそれが自分たちのことであるとはわからないようにまで変えてある。ただし、問題の質については伝わるはずだ。ご理解をいただきたい。 患者さんがよいケアを受け、病状が改善することをご家族が願うのは当然だ。ただ、その願いがきわめて強い患者家族がいらっしゃる。介護のためにご家族が仕事を辞め、ず

    患者家族とのトラブル - NATROMのブログ
    k-takahashi
    k-takahashi 2022/01/31
    『今回の事件のようなことが起きることまでは予測していなかった。どうすればいいのか考えているところだ。きわめてレアケースであるので考えても仕方ないのかもしれない』
  • 新型コロナに対するイベルメクチンのケースシリーズを発表してほしい - NATROMのブログ

    イベルメクチンに対する「熱狂」 一部の界隈で新型コロナウイルス感染症に対する抗寄生虫薬「イベルメクチン」への期待が高まっている。熱狂的であるとすら言える。「海外ではイベルメクチンが大きな成果を上げているのに日で使用が制限されているのはけしからん」といった具合だ。反ワクチンや陰謀論(「安価なイベルメクチンで新型コロナが予防・治療できるとワクチンをはじめとした高価な薬が売れないので巨大な利権が妨害しているんだよ!!」)とつながっていることもあり危惧を覚える。 現時点ではイベルメクチンが新型コロナに効くことを示す良質な証拠はない。日だけではなく、海外でも主な公的機関は臨床試験以外でのイベルメクチンの使用を推奨していないが、ごく当然のことである。「ワクチンは受け入れられたのに実績のあるイベルメクチンが受け入れらないのは不公平」という類の反論もあるが、イベルメクチンの偉大な実績は寄生虫疾患に対す

    新型コロナに対するイベルメクチンのケースシリーズを発表してほしい - NATROMのブログ
    k-takahashi
    k-takahashi 2021/08/27
    『臨床医の経験はなかなか馬鹿にならない。だからこそ症例報告やケースシリーズもエビデンスだとされている』『臨床医の実感が結果的に間違っており、助けられるはずの多くの患者が亡くなった事例』
  • ゼロにはできなくても - NATROMのブログ

    新型コロナウイルス感染症に対するmRNAワクチンはかなり有効ではあるが、もちろん有効率は100%ではなく、ワクチンを2回接種しても感染、発症することはある。また、ワクチンが効きにくい変異株が出現する恐れやワクチンが有効な期間に不確実な部分はあり、ワクチンを接種しても集団中の感染者が十分に減るまではこれまで通りの感染対策が必要だ。 しかし、一部の人たちにとっては「新型コロナワクチン接種後も感染対策が必要だ」という、ごくまっとうな主張が「ワクチンは効かない」という自白のように聞こえるらしい*1。どうやら、「有効な医療介入であっても別の対策を併用したほうがいい場合もある」ことを受け入れがたい人がいるようだ。似たような議論はほかにも見られる。たとえば、HPVワクチンは接種後も定期的な子宮頸がん検診が必要だが、「ワクチンを接種していても検診が必要であるならワクチンは不要だ」という誤解はしばしばみられ

    ゼロにはできなくても - NATROMのブログ
    k-takahashi
    k-takahashi 2021/06/30
    『一部の人たちにとっては「新型コロナワクチン接種後も感染対策が必要だ」という、ごくまっとうな主張が「ワクチンは効かない」という自白のように聞こえるらしい』程度問題を理解したくない人がいる
  • ワクチンを接種しない人を批判してはいけない - NATROMのブログ

    新型コロナウイルスワクチンが、日でも今年の2月から順次接種される予定だ。発症予防と重症化予防の効果は確かで、短期的な安全性も海外で数万人単位の臨床試験および千万人単位での実地での接種が済んでおりほぼ確認されている。重篤な副作用はあるが頻度は十分に小さく、害より利益が上回るのは明確だと私は判断し、順番が来た時点ですみやかに接種を受けるつもりである。 しかしながら、他者への感染予防効果については、効果は示唆されるものの、現時点では確実とは言えない*1。また、当然のことであるが1年以上を単位とした長期的な副作用の有無はまだわからない。ワクチンを接種するのをためらい、保留する人がいるのは当然のことだ。あるいは、どんなにまれであっても重篤な副作用が起きる可能性があるワクチンを接種したくない人もいるであろう。 どのような医療を受けるかを決める権利は人にある*2。もちろん、ワクチンについてもそうだ。

    ワクチンを接種しない人を批判してはいけない - NATROMのブログ
    k-takahashi
    k-takahashi 2021/01/30
    『理想は、すべての人がワクチンについての正しい情報にアクセスでき、自分の意思でワクチンを受けるかどうかを決定できることである。ワクチンを接種しない人を批判してもこの理想に寄与しない』
  • 米CDCのインフルエンザ流行状況のグラフが興味深い - NATROMのブログ

    米CDC(アメリカ疾病予防管理センター)は季節性インフルエンザの流行状況のレポートを毎週更新している。定期的にウォッチしているがなかなか興味深い。 ■Weekly U.S. Influenza Surveillance Report | CDC インフルエンザの流行状況を正確に把握できる単一の指標はなく、さまざまな指標が公開されているが、今回はその一つである「全死亡者数に占めるインフルエンザおよび肺炎による死亡者数の割合」に注目しよう。たとえばある週の全死亡者数が6万人、インフルエンザによる死亡が1500人、肺炎による死亡が4500人だと、全死亡者数に占めるインフルエンザおよび肺炎による死亡者数の割合は、(1500+4500)/60000 = 10%になる。 死亡率(一定期間の間の人口当たりの死亡数)を計算するには総人口の情報が必要だが、死亡者数の割合だと死亡統計だけから算出できる。肺炎に

    米CDCのインフルエンザ流行状況のグラフが興味深い - NATROMのブログ
    k-takahashi
    k-takahashi 2020/10/14
    『そのように主張するなら6万人が亡くなった2017年から2018年にかけてのインフルエンザ大流行よりも明らかに肺炎死が多い事実について何らかの説明が必要』 新型コロナの流行状況についてのデータ解説
  • HPVワクチンが子宮頸がんを増やすというニセ情報を検証してみた - NATROMのブログ

    子宮頸がんの原因の大多数はHPV(ヒトパピローマウイルス)の慢性感染であり*1、HPVワクチンによってHPVの感染を防ぐことで子宮頸がんを予防することが期待できる。もちろんワクチンである以上、100%の安全性は保障できず、頻度はともかくとしてHPVワクチンが重篤な副作用を引き起している可能性は否定できない。ニセ医学に頼らなくてもワクチンの害について議論することはできるのだが、一部のというか、多くの「反HPVワクチン」論者は完全にニセ医学側に立っている。不幸なことだ。 彼らの定番の「デマ」の一つが「HPVワクチンは子宮頸がんを減らすどころかむしろ増やしている」という主張だ*2。一般の人たちだけではなく、科学コミュニケーションや 科学ジャーナリズム論を大学で教えている先生も「釣られている」*3。何らかの対抗言論が必要だと考えた次第だ。 HPVワクチンがHPVの感染を防ぐこと、および、前がん病変

    HPVワクチンが子宮頸がんを増やすというニセ情報を検証してみた - NATROMのブログ
    k-takahashi
    k-takahashi 2020/08/31
    『ブログやSNSベースのHPVワクチンが子宮頸がんを増やしたという主張は信じないほうがいいし、そのような主張を批判的言及なしに紹介する論者は信頼に値しない』
  • 新しいニセ医学「新型コロナ否認主義」 - NATROMのブログ

    標準的な医学的知見を否定する名誉教授と市議会議員 日野市議会議員の池田としえ氏が、2020年6月8日に「新型コロナに迫る!」 *1と称して議会で質問をしたが、その内容に危惧を覚えたのでここで指摘する。端的に言えば、池田としえ氏は、YouTube等で徳島大学名誉教授・大橋眞氏が主張している「新型コロナウイルスは存在しない」というきわめて根拠に乏しい独自の説に基づいて質問を行った。動画*2を拝聴したところ、大橋眞氏の主張には問題点がいくつもあった。 池田としえ氏のfacebookより。「やはり、新型コロナウィルスは存在しない」。URL:http://archive.vn/SsLPH ほとんどの人がご承知であるが、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)は重症の肺炎を引き起こす。しかし、大橋眞氏は標準的な医学的知見を否定し、「PCR検査で測定しているのは、病原性のない常在性ウイルスである可能性

    新しいニセ医学「新型コロナ否認主義」 - NATROMのブログ
    k-takahashi
    k-takahashi 2020/06/15
    『新型コロナ否認主義を好意的に紹介するのはもちろんのこと、両論併記ですら不適切だ。HIVとエイズの関係や輸血の有用性を否定する人物が信用に値するのか、よく考えてみてほしい』 池田としえ問題
  • 「論座」の新型コロナ感染症の記事から学べること - NATROMのブログ

    「論座」に新型コロナウイルス感染症を疑う症状を経験したジャーナリスト、佐藤章氏による記事が掲載された。患者さんの視点で気持ちの推移やPCR検査の経験を伝える良い記事である。 ■私はこうしてコロナの抗体を獲得した《前編》保健所は私に言った。「いくら言っても無駄ですよ」 - 佐藤章|論座 - 朝日新聞社の言論サイト ■私はこうしてコロナの抗体を獲得した《後編》PCR検査の意外な結果、そして… - 佐藤章|論座 - 朝日新聞社の言論サイト ただ、医学が専門ではない方が書いたため仕方のないこととは言え、いくつか医学的な誤りが散見される。誤解が広まると感染防御の点から弊害が生じることが懸念されるため、ここで指摘しておく。 症状出現から1回目の抗体検査まで ことの経過は3月29日の深夜12時前に38度の発熱から始まる。適切に家庭内隔離が行われた後、2日間は37度5分前後と微熱が続き、4月1日には平熱と

    「論座」の新型コロナ感染症の記事から学べること - NATROMのブログ
    k-takahashi
    k-takahashi 2020/04/25
    『医学が専門ではない方が書いたため仕方のないこととは言え、いくつか医学的な誤りが散見される。誤解が広まると感染防御の点から弊害が生じる』 新聞記者の肩書きで書くなら調べるべきだった
  • 血液1滴で13種のがんを同時に検出できる検査ってどうなの? - NATROMのブログ

    マイクロRNAによるがん診断技術がニュースに 東芝が「1滴の血液から13種類のがんいずれかの有無を99%の精度で検出できる技術を開発し、2020年から実証試験を始める」というニュースが報道された。血液中のマイクロRNAをマーカーとするもので、研究としては以前から行われており*1、怪しいものではない。むしろ、なんで今さらこんなに大きく報道されているのかがよくわからない。 ■血液1滴でがん13種99%検出 東芝、20年から実証試験 | 共同通信 人間ドックのオプションを目指すという報道もある。通常のがん検診では、負担が大きいわりに一種類のがんしかわからない。バリウムを飲んで、げっぷを我慢しつつ、透視台の上でグルグル回わされたあげく、胃がん(とせいぜい道がん)しかわからない胃部X線検査と比べれば、血液一滴で13種類ものがんがわかるとは、なんと素晴らしいことか、と思う方々もたくさんいらっしゃるで

    血液1滴で13種のがんを同時に検出できる検査ってどうなの? - NATROMのブログ
    k-takahashi
    k-takahashi 2019/11/26
    『「高い精度でがんを検出」という触れ込みだけで、がん死亡率減少が検証されないまま、がん検診に広く使用されることがないよう、切に願い、また、注意を喚起したい』