2009年度の国の税収(見込み)は36兆9000億円。その一方で鳩山由紀夫首相は2010年度の国債の発行、つまり新たな借金を44兆円以内に抑えると言っている。これはいわば年収369万円のサラリーマンが、年収を上回る440万円もの借金を新たにするようなもので、明らかに異常事態といえよう。 しかし、こんな状況でも「国の借金は多すぎることはない、もっと借金をしろ」と主張する人たちがいる。今回はそういう見方がいかにおかしいか、ポイントを一つひとつ、順を追って論じてみたい。 借金返済のための「増税」は最悪の政策1)いざとなったら政府は国民から税金をたくさん取って返済に回せば良い? 政府は国民の同意なしに税率を上げることはできない。「国の借金を期日どおりに返すために税金を今までの2倍払ってください」などと政府が国民に頼んだとしたらどうだろう。「政府の責任を国民に押し付けるな」と拒絶されるに決まっている