6月の2連戦で2026 FIFA W杯アジア2次予選が終了すると、サッカー日本代表は9月に始まる最終予選に臨むことになる。1998年フランス大会以来の8大会連続出場を目指すが、日本からW杯に出場するのは代表ばかりではない。実は日本人審判員が本大会のピッチに初めて立ったのは1970年のメキシコ大会だった。世界の一流選手どうしが戦う国際大会で笛を吹く審判には、どんな苦労があるのか。2014年のブラジル大会で、日本人として初めてW杯開幕戦の主審を務めた西村雄一氏に、スポーツを長年取材する鵜飼克郎氏が聞いた。(全7回の第2回。文中敬称略) * * * 国の威信を懸けて戦う国際大会ともなれば、ワンプレーの重みが違う。負けられない戦いの中で、国籍や言葉の違う両チームの選手がヒートアップすることも珍しくない。そうした試合の笛を吹く国際審判員にはジャッジの正確性だけでなく、それを伝えるコミュニケーション力