「災いを避けるため、川で捕れたウナギは神社の池に放した」と話す安野武行さん。後ろは800年前に村人がウナギを食べないと誓った三島神社=山口市の鯖(さば)地区山口市の鯖(さば)地区の地図 【峯俊一平】生まれてこのかたウナギを食べたことがない。そんな住民が大半を占める集落が山口市にある。22日の土用の丑(うし)の日にも関心はなし。約800年前から「ウナギを食べると災いが起きる」と言い伝えられているためだ。 市中心部から車で1時間。山々に囲まれた鯖(さば)地区には民家26戸が点在し、約50人が暮らす。1180年に焼失した奈良・東大寺を再建する際、鯖村(当時)の木も使われ、木こりでにぎわったという。 その当時の出来事が、言い伝えの起源だ。隣村で捕れた大ウナギが配られ、みんなで食べると、その夜、腹痛を訴える村民が続出。3日後には村全体に疫病が広がり、半数近い村民が死んでしまった。 続きを読む関