【ロンドン=内藤泰朗】日本を代表する演出家、蜷川幸雄(79)が手掛けた2作品が5月末、ロンドンで2週連続、上演された。シェークスピアの悲劇『ハムレット』と、作家、村上春樹のベストセラー小説『海辺のカフカ』。英紙は「息をのんだ」「感覚に訴えかけてくる」と絶賛した。今秋に80歳となる「世界のニナガワ」は、病でロンドンに行けなかったことを「痛恨」としながらも全力で演出に打ち込む覚悟だ。 ◇ 「病気でロンドンに行けず、痛恨の極みです」 ロンドンを代表するシアターの一つ、バービカン劇場で21日、初日を終えた後に行われたレセプションに蜷川の姿はなかった。代わりに録画したビデオ映像でこう語り、わびた。 ロンドン公演は蜷川の「80歳のお祝い」(劇場関係者)だった。加えて、30年前に初めて英国でシェークスピアの公演を行って以来、「英国で最も多くの舞台をこなす日本人演出家」の集大成を披露する特別な意味があった