前のページへ 1|2|3 負けたことで残せる「歴史」 ――中でも印象に残った言葉はありますか? 将棋ファンの同僚からの一言です。彼は慰めてはくれたのですが、他の場面で「まあ、将棋は味とか含みがあるからね」とも言われました。 つまり「味や含みといった微妙な駆け引きのある将棋はオセロより複雑で、だからコンピュータに負けることはないだろう」という意味を言外に感じました。もちろんオセロにも味や含みはあるし、将棋に劣らない複雑なゲームなのですが、その場で反論はしませんでした。 囲碁将棋ファンが持つオセロへ対する誤解は根強く、1つも2つも下に思われていたので。それをその場で正すのは難しい。「いずれ時が来れば分かりますよ」と、心の中でつぶやきました。20年を経て、それは全く予想通りになっていると思います。 また、「チェスと同じ年にオセロが負ける」ことで、歴史に名が残ると思いました。「負けた」という歴史を