文部科学省が、全国学力テストの結果を公表した。全体として成績の底上げが図られ、下位に低迷していた県の奮起もうかがえた。 民主党政権で、対象を3割抽出に縮小された方式は、4年ぶりに小学6年と中学3年の全員参加で実施された。来年度以降も全員調査を実施するとした、下村博文文部科学相の判断を支持したい。 学校の授業が児童生徒の学力向上に役立っているか、検証するのは当然である。教師にとっても自らの活動を省み研鑽(けんさん)を積むうえで、学力テストの結果の把握は欠かせないはずだ。 より正確で、きめ細かな情報を得るため、全員参加の方式を続けるべきだ。抽出調査では市町村別や学校ごとのデータを把握することはできず、個別の学力向上に結びつけることができない。 今回の調査結果では、都道府県別でこれまで上位を占めてきた秋田や福井などの常連県が好成績を収めた。その一方、小学校で全国平均と最も低い正答率の都道府県との
松江市教育委員会が、小中学校に求めていた漫画「はだしのゲン」の閲覧制限を、手続き上の不備を理由に撤回した。 だが、閲覧権は大人と子供では同等ではない。大人は自由に読むことができても、子供には読ませたくない図書もある。年齢などに応じた適切な配慮が必要である。 一般に公立図書館などで、特定の図書を正当な理由なしに本棚から撤去したり、廃棄したりすることは、言論・表現の自由に反し、許されない。しかし、学校の図書館では、そうした一般論は必ずしも当てはまらない。 「はだしのゲン」は、原爆投下後の広島で生きる少年を描いた作品だが、一部に旧日本兵が首を刀で切り落としたり、女性を乱暴して殺したりする残酷な場面が出てくる。米国の原爆投下は日本が戦争を起こしたことの報いだとする「原爆容認論」が、子供たちの心にすり込まれる恐れもある。 昨年暮れ、市教委がこの場面を子供たちに見せるのは教育上、好ましくないとして、市
4年ぶりに全国全ての学校が参加し、27日に結果が公表された全国学力テスト。過去5回は都道府県別で成績上位、下位の固定化が進んできたが、今回は下位に低迷してきた高知が、小6の複数教科で全国平均との差で3ポイント以上正答率を伸ばすなど大幅な改善を見せた。トップ常連の秋田から取り組みを学んだり、地域ぐるみで放課後補習を支援したり。学力向上への努力が結実した好事例として文部科学省も注目している。 ネット利用奏功 平成19年に復活した全国学力テストで、高知は小6の全教科で平均以下、中3は最下位クラスと低迷。その後も全国平均を下回る結果が続いた。だが今回は21年度比で、全国平均正答率との差が、小6国語Aと小6算数Aで3ポイント以上改善。中3でも差が縮まった。 県教委小中学校課は「19年の最初の結果が非常に厳しく、すぐに対策に乗り出した」と振り返る。まず行ったのは秋田への視察。秋田は17年からネット上
文部科学省が全国学力テストとともに行った児童生徒アンケートで、英語の学習が「好き」と答えた小6が76%、中3が53%と半数以上を占める一方、「将来外国留学したい」と思うのは、小中とも30%台にとどまり、近年指摘されてきた若者の内向き志向が、小中学生の段階から始まっていることが浮かび上がった。 今回のアンケートでは、グローバル人材の育成が叫ばれる中、外国への関心についての質問を初めて設けた。「英語の学習は好きか」との問いに「そう思う」「どちらかといえばそう思う」と答えた小6は76%に上り、中3は53%。「外国人と友達になったり、外国のことをもっと知ったりしたいか」との問いにも、小6の71%、中3の61%が肯定的だった。 ところが、「将来、外国へ留学したり、国際的な仕事に就いたりしてみたいか」との問いに肯定的に答えたのは、小6の39%、中3の31%にとどまった。 授業や習い事などで英語を学び始
全国学力テストは平成19年度に43年ぶりに復活して以来、全員対象か抽出かという調査方法が、政治によって左右されてきたが、自公政権の安定化で当面は全員調査で実施される。昨年度初めて実施された理科については「3年に1回程度」とされており、次回は27年度に行われる予定だ。 学力テストは昭和30年代に中学2、3年の全員を対象に実施されたが、「過度の競争を招く」として日本教職員組合(日教組)による反対運動が起き、全員調査は行われなくなった。しかし「ゆとり教育」などによる学力低下を受け、平成19年度に復活。日教組が支持する民主党政権となった22年度からは競争排除やコスト削減を理由に3割抽出方式に変更された。 ところが、良問が多く学力改善に役立つことなどから、抽出を外れても参加を希望する学校が相次ぐ中で、昨年12月に自民党が政権復帰。下村博文文部科学相は26年度以降も全員調査する意向を明らかにしている。
文部科学省が27日に公表した児童生徒アンケートでは、社会に対する関心についても質問。新聞を読んでいる割合は小中学生とも低調で、中3が小6を下回った。新聞を題材にした問題の正答率も伸び悩んだ。 「新聞を読んでいるか」との質問は今回が初めて。小6では「毎日」が12%、「週1~3回程度」が20%で、週1以上読んでいるのは32%。中3はさらに低調で、「毎日」が10%、「週1~3回程度」は15%で、週1以上は25%だった。 「ほとんど全く読まない」は小6で46%、中3で55%だった。 一方、「テレビやインターネットのニュースを見る」と回答したのは小中ともに85%に上った。 学力テストの中3国語Bでは、文化庁が実施した国語に関する世論調査の結果を取り上げた新聞記事を題材に、記事の書き方の特徴で適切なものを4つの選択肢から選ぶ問題が出た。見出し、リード、本文の関係を理解し、文章の構成や表現の特徴を捉える
文部科学省は27日、学力向上を目指し、土曜授業に取り組む公立小中高校などへの補助制度を新設する方針を決めた。来年度は全公立校の約2割に当たる約6700校を対象とする。土曜授業の普及策を探るモデル事業も実施し、平成26年度予算の概算要求に計20億円を盛り込む。 文科省は「特別な必要がある場合」に限っている土曜授業の要件を今秋にも緩和する方針で、自治体への財政支援を強めて全国的な普及を図る。 文科省関係者によると、補助事業の対象は小学校約4千校、中学校約2千校、高校など約700校。月1回以上の土曜授業を実施する。 土曜日は地域住民の協力を得やすい点を生かし、海外経験を持つ商社員を講師に招いて英会話指導を受けたり、技術者にパソコン教室を開いてもらったりすることを想定。学校の求めに応じて講師を確保するコーディネーターも置く。
文部科学省は来年度から、小中高校生らの学力向上に向け、土曜授業を行う公立校への補助制度を設ける方針を決めた。 地域の人材を講師にするなどし、月1回以上実施することを想定。地域と学校のつながりをより強めることも狙う。講師への謝礼や教材費など土曜授業に必要な費用を補助して実施自治体を後押しし、来年度から3年間で全公立校での土曜授業実施を目指す。 来年度はまず、全公立校の約2割にあたる計6700校に対する補助などを行う予定で、2014年度予算の概算要求に計20億円を盛り込む。 同省では週5日制の導入に伴い、学校教育法施行規則(省令)で土曜日を休業日とし、土曜授業を「特別の必要がある場合」と例外扱いしていた。今秋、この省令を改正し、自治体の判断で実施できるようにした上で、補助制度の創設で土曜授業を推進する。 地域の会社員や公務員らに土曜日に学校に来てもらって、体験活動といった総合的な学習を
活用力に課題、例年通り=一部で改善、底上げ進む―4年ぶり全員参加・学力テスト 時事通信 8月27日(火)17時14分配信 文部科学省は27日、4月に小学6年と中学3年を対象に実施した全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)の結果を公表した。6回目の今回は4年ぶりに全員参加方式に戻ったが、基礎知識を問うA問題で改善が見られる一方、活用力を試すB問題に課題が残るという例年通りの傾向だった。 今回は、2007年度の初回以降4年分の結果を分析して浮かび上がった課題の中から、15項目について出題。その結果、算数Aの「必要な情報を取り出して面積を求める」や数学Aの「具体的な事象における数量の関係を捉え、連立二元1次方程式をつくる」で正答率が7割を超え、改善が見られた。 一方、小学国語Bの「調べて分かった事実に対する自分の考えを、理由や根拠を明確にして書く」や、数学Bの「一定の事柄が成り立つ理由など
学力テストでは毎回、記述が苦手な傾向が強く反映されるが、今回は記述式問題で白紙解答だった児童・生徒に、アンケートで初めてその理由を尋ねた。「努力したが難しくて答えられなかった」が5〜8割で最も多かったが、「文章問題だから答えようと思わなかった」と諦めた子どもも小6で1割程度、中3では3割近くに上った。 文部科学省は「答えを書くのが苦手だったり、問題文を読み解く力が不足していたりする子どもがいることが分かったので、今後指導方法を考える必要がある」(学力調査室)と話している。 小中の国語Bで、資料を基に自分の考えを100字程度にまとめる問題では、小6で全体の19%、中3で11%が無解答。このうち、「難しくて解答できなかった」が小6の79%、中3の53%を占めた一方、「時間が足りなくなった」が13%と19%、「答えようと思わなかった」が7%と27%いた。 さらに、「難しくて解答できなかった
文部科学省は27日、4月24日に実施した「全国学力・学習状況調査」(全国学力テスト、学テ)の結果を発表した。 4年ぶりに全員参加方式が復活した今回は、全国平均と成績下位の自治体の格差が縮小し、基礎的な学力の改善傾向がみられた。同時に行われたアンケート調査では、4割を超える小学校で英語学習を4年生以下から行っていることもわかった。 今回は約3万校で小学6年生、中学3年生の計約219万人が受けた。小6は国語・算数、中3は国語・数学で、それぞれ基礎知識をみるA問題と、応用力を問うB問題が実施された。 昨年度と2010年度は抽出方式で行われたため、文科省は公立校の都道府県別平均正答率を幅のある数字で示していたが、今回は詳細な分析が可能になり、正確な順位も明らかになった。 その結果、過去の学テで常にトップクラスの秋田県が、小学校の国語・算数、中学国語のA・B問題の計6教科で1位となり、福井県
27日に公表された全国学力テストの都道府県別の平均正答率では、下位県と全国平均の差が縮まったものの、上位と下位の顔ぶれは今年も例年と変わらない結果となった。文部科学省は「全体として学力は底上げされた」と評価するが、固定化に大きな変化は見えない。要因はどこにあるのか。上位県と下位県の実践を探った。 ◇独自テスト奏功 上位常連の秋田、福井両県の県教委担当者が、共に好成績の一因として挙げるのが県独自の学力テストの活用だ。1951年度以降ほぼ毎年続けている福井県は、昨年は12月に小学5年と中学2年を対象に実施。問題作成には県教委の指導主事だけでなく、教員も参加し、正答率の低い問題については指導例を作り授業改善に生かす。秋田県も2002年から毎年12月に小学4年〜中学2年までを対象に実施し、結果を基にクラス単位で課題克服を図る。 このほか、福井県は応用力を問う「B問題」対策にも力を入れる。10
【岡雄一郎】文部科学省は27日、小学6年生と中学3年生を対象に4月に実施した全国学力調査の結果を発表した。2007年の調査開始以来、初めて公立小学校の平均正答率が全国平均より5ポイント超低い都道府県がゼロになった。中学校でも数が減っており、文科省は「底上げが進んだ」とみている。 【写真】全国学力調査の公立の平均正答率 4年ぶりに全児童生徒を対象とし、全国の国公私立の計約219万人(93%)が参加。国語と算数・数学の2教科で、基礎知識をみるA問題と応用力を試すB問題が出題された。全国の平均正答率(公立)は、【小学】国語A62・7%、B49・4%▽算数A77・2%、B58・4%【中学】国語A76・4%、B67・4%▽数学A63・7%、B41・5%。 公立小の都道府県別平均正答率をみると、国語Aの全国平均は62・7%。最低の静岡は57・7%で、全国平均より5ポイント超低い都道府県はなかった。
全国学力テスト 全教科、全国平均下回る 特に目立つ応用力不足 和歌山 産経新聞 8月28日(水)7時55分配信 文部科学省が27日発表した平成25年度の「全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)」結果で、県内の公立小中学校の平均正答率は全教科で全国平均を下回り、特に応用力不足が目立つことが分かった。 ◇ 今回の全国学力テストは抽出ではなく小6と中3全員を対象に実施。県教委によると、県内の公立学校では小6約8800人と中3約8500人が参加した。 国語と算数・数学のいずれも、基礎知識を問う「A」と思考力や表現力など応用力を問う「B」が実施された。 小学校は、平均正答率がすべての教科で0・3〜1・9ポイント全国平均を下回ったが、前年度と比べると算数A以外は全国平均との差が縮まった。 中学校も全教科で0・3〜3・1ポイント全国平均より低く、また前年度よりも全教科で全国平均との差が拡大し
文部科学省が27日公表した全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)結果で、東京都内の学校の平均正答率は、小、中学ともに全科目で全国の平均を上回った。 全国学力テストは小学6年と中学3年を対象に今年4月に実施された。全員調査となったのは4年ぶりで、国公私立校が参加したが、平均正答率の数値が集計されたのは公立校のみ。 47都道府県中の順位では、小学の国語Bが7位、算数Bが8位、中学の国語Bが7位で、他の科目でもおおむね上位となった。小、中学ともに全科目で首都圏の埼玉、千葉、神奈川の3県を上回る数字だった。 都教委によると、今回と異なり参加校を抽出して実施していた平成22年度と24年度(23年度は東日本大震災の影響で中止)でも、小学校、中学校ともにすべての科目で全国平均を上回っていた。 また、今回と同様に全員参加だった平成21年度では、小学校はすべて全国平均を上回ったが、中学校は国語Aが
橋下徹大阪市長が府知事だった平成20年に「教育非常事態」を宣言し、学力向上のため総額約20億円の予算を投入してきた大阪府だが、今回の全国学力テストでは、小・中のいずれの科目も全国平均を下回った。平均正答率は中学校で全国41〜46位、小学校で同25〜36位。府教委は21年に「25年度までに全科目の正答率で全国平均を上回る」という目標を掲げたが、達成できなかった。 府教委の陰山英男委員長は「満足していただける結果が出せなかった。おわび申し上げたい」と陳謝。中原徹教育長も「失敗は失敗。もう一回チャンスをいただきたい」と述べた。 府では、20〜22年度に実施した放課後の児童らの学習をサポートする「おおさか・まなび舎(や)事業」をはじめ、さまざまな取り組みを進めた。昨年度までは一部の科目で全国平均を上回るなど成績も上昇傾向にあり、今回の調査でも、家庭などでの学習時間が増加するなど改善がみられた。
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