(英エコノミスト誌 2010年6月12日号) 中国の労働市場は果たして転換点にあるのか? 6月7日、上海近郊にあるゴム工場で、ストライキ参加者たちが中国警察と衝突した。「ゴムから発生する匂いは耐えがたいが、我々には有害ガスに対する手当てが支給されることもない」。ある出稼ぎ労働者は、香港の英字紙「南華早報」にこう語った。 同じ日、ホンダはマフラーと排ガス装置部品を生産する工場でストに見舞われた。その前に繰り広げられた労働争議が、24%の賃上げを提示したことによってやっと終結してから1週間もしないうちの出来事だった。 6月6日、電子機器メーカー、富士康科技集団(フォックスコン)の経営者は大々的に報じられた従業員の連続自殺を受け、仕事ぶりが一定水準に達していた場合、深セン工場の従業員は10月以降、月給2000元(293ドル)稼げると明言した。それまでに支払われていた基本給の約2倍となる賃上げだ。