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ブックマーク / www1.odn.ne.jp (8)

  • 青砥恭『ドキュメント高校中退』

    青砥恭『ドキュメント高校中退』 抜けだせない貧困の根っこにある「低学力」 書のサブタイトルは「いま、貧困がうまれる場所」であるが、高校を中退する現場が貧困に直結しているという意味ではまさしく「いま、貧困がうまれる場所」というほかない。 詳しくはいつ頃からかはわからないのだけども、たとえばぼくが社会科学に関心をもつようになった1980年代にはすでに「生活困難層」と「中退」問題はセットで論じられていた。 岩田正美は『現代の貧困』(ちくま新書)のなかで、〈いわゆる「格差社会」は、そこそこ豊かであった「中流」層の生活基盤を不安定にしているが、だからといって中流層に属する人が一律に貧困化しているわけではない〉(同書p.140)と「だれもが陥りうる貧困の恐怖」といったイメージを批判する。 そのうえで、〈「格差社会」の進行やその背後にある経済社会の大きな変化が、むしろある特定の「不利な人々」を、真っ先

  • 加藤陽子『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』

    加藤陽子『それでも、日人は「戦争」を選んだ』 指導者層からみた戦争史 刺激的なタイトルので、この前朝日新聞の広告をみたら12万部とあったので、売れているのだろう。大手の新聞でも書評でとりあげてられていた。 高校生を相手に、歴史学者の加藤陽子が近現代の日戦争史を講義するというスタイルで書かれている。 結論からいえば、面白いだった。 ひとことでいえば、「それでも、日人は『戦争』を選んだ」ではなく「それでも、日の指導者層は『戦争』を選んだ」という視点で歴史をみていく、ということである。 このタイトルですぐに思い描くのは太平洋戦争における日米開戦だろう。 なぜ物量差が圧倒的にあるアメリカ戦争を挑むなどという馬鹿げたことを日の指導層は実行に移してしまったのか、日の指導層はアホが勢揃いしていたのか、それとも合理的で知性的なメンバーがそれなりにいたとしても誤謬を積み重ねて修正不可能に

  • ODN:サービス終了のお知らせ

    ご訪問いただいたお客様へのお知らせ アクセスいただいたWebサービスは提供を終了いたしました。 長年にわたり、多くの皆様にご利用いただきましたことを心よりお礼申し上げます。 ODNトップページへ

  • NHKスペシャル「ワーキングプアIII 解決への道」の感想

    NHKスペシャル「ワーキングプアIII 解決への道」の感想 ※NHKスペシャル「ワーキングプア 働いても働いても豊かになれない」の感想こはちら ※NHKスペシャル「ワーキングプア 努力すれば抜け出せますか」の感想こはちら 07年12月15日放映のNHKスペシャル「ワーキングプアIII 解決への道」を見た。「海外のワーキングプアについて報道するらしい」という話を聞いていたから、「ああ、日の話はだいたいやっちゃったので、『海外でも広がっていますよ』『海外ではこうしてますよ』みたいなやつかな」というヌルい想像をしていたのだが、「ワーキングプアI」と「II」をつくったスタッフの力を甘くみすぎていた。 そのような、学生のレポートみてえなボケた一般論ではなかった。 日のワーキングプア問題がいきつく先が予想や推測の中ではなく、すでに「海外」という現実の中に存在しているということ、そして、日のワーキ

  • 日本の家屋の広さは「世界5位」か? もしくは「ウサギ小屋は誤訳」か?

    の家屋の広さは「世界5位」か? もしくは「ウサギ小屋は誤訳」か? サイト「活字中毒R」の記事「『日の家屋は狭い』という誤解」を読んで。 http://www.enpitu.ne.jp/usr6/bin/day?id=60769&pg=20071125 以下の記事は、上記の記事の全否定ではないが、明らかに間違っていると思える部分もしくはミスリードをまねきそうな部分を指摘した上で、“「日の家屋は狭い」というのは誤解だ”と聞くと、どうしても抱いてしまう違和感の大もとがどこにあるのか、ということを探っている。 あー、ごたくが嫌いな人や読むのが面倒な人は、この記事の一番最後に統計的な結論だけ書いてあるから、それをみてほしい。 日の家屋の広さは世界5位ではない まず、「活字中毒R」の記事に書かれている、「日人の居住空間というのは『狭苦しい』感じがするのかもしれませんが、多くの日人が思い込

  • 中島岳志『パール判事』

    中島岳志『パール判事』 まったく偶然であるが、新聞などの予告をみると、日(07年8月14日)放映されるNHKスペシャル「パール判事は何を問いかけたのか〜東京裁判 知られざる攻防〜」(午後10時・総合)は、中島の書『パール判事』の主張をほぼ番組化したものになりそうである(付記:今見た。すばらしい内容。この中島の中身の反映もさることながら、東京裁判が結論の決まった単なる茶番劇ではなく、判事同士の激しい確執のある、きわめて動的なプロセスであったことが浮き彫りになった番組だった。そして東京裁判の「成果」が平和憲法や国際司法の発展に寄与していることもわかるものになっている)。 ぼくは今、東京裁判について書かれたものをいくつか読んでいるが、東京裁判そのものが膨大な資料があるために、とても「そのもの」を読むところまでいかない。たとえば冨士信夫『私の見た東京裁判』(講談社学術文庫)にしても、裁判の全

  • NHKスペシャル「ワーキングプアII 努力すれば抜け出せますか」の感想

    2006年12月10日放映のNHKスペシャル「ワーキングプアII 努力すれば抜け出せますか」は、前作「ワーキングプア 働いても働いても豊かになれない」の第2弾。 非常に戦闘的な、言い換えると論争的な中身だった。 前作はワーキングプア(働く貧困層。生活保護水準以下ととりあえず規定されている)の実態とそれを生み出す構造を描いた。これにたいして、「II」はもちろん引き続きワーキングプアの実態を描くのだが(前作に1400通もの反響があり、キャスターの鎌田自身も未曾有の経験だという)、サブタイトルにあるように「努力すれば抜け出せる」という議論に、ルポを通して反論している。 「努力すれば抜け出せますか」という疑問、そして反語として。 「ワーキングプアといっても、努力すれば抜け出せるではないか」――これは自己責任論にもとづく最も有力な議論である。実際にインターネット上でも前作への反響としてこのような議論

  • 心霊界での自然研究

    エンゲルス『心霊界での自然研究』 ■■□■ 爆笑できるエンゲルスの著作 ■□■■ エンゲルスの著作のなかでも、爆笑できる一作。いや、けっして作品が不出来だから笑えるというのはではなく、実際に書いてある内容が面白いから笑えるのだ。 おおひなたごうの『俺に血眼』には、藤子・F・不二雄の霊を口寄せしてもらうという話がある。実際におおひなたがイタコというか、霊媒師のところにいったようなのである。霊媒師にドラえもんを描かせるという暴挙をやって、霊媒師に「あなたねえ、もっと素直になりなさいよ」などと説教される。 清水義範にもイタコに霊呼びをさせるのだが、シャーロック・ホームズを口寄せしてもらったのに、なぜか津軽弁でしゃべるというのを笑い話にしている 『心霊界での自然研究』でのエンゲルスのギャグ感覚はきわめてこれにちかい。 イギリスの文法家を呼び出したはずなのに、霊はI areとアメリカ式に答えたという

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