青砥恭『ドキュメント高校中退』 抜けだせない貧困の根っこにある「低学力」 本書のサブタイトルは「いま、貧困がうまれる場所」であるが、高校を中退する現場が貧困に直結しているという意味ではまさしく「いま、貧困がうまれる場所」というほかない。 詳しくはいつ頃からかはわからないのだけども、たとえばぼくが社会科学に関心をもつようになった1980年代にはすでに「生活困難層」と「中退」問題はセットで論じられていた。 岩田正美は『現代の貧困』(ちくま新書)のなかで、〈いわゆる「格差社会」は、そこそこ豊かであった「中流」層の生活基盤を不安定にしているが、だからといって中流層に属する人が一律に貧困化しているわけではない〉(同書p.140)と「だれもが陥りうる貧困の恐怖」といったイメージを批判する。 そのうえで、〈「格差社会」の進行やその背後にある経済社会の大きな変化が、むしろある特定の「不利な人々」を、真っ先