ミレー『種まく人』 自分のヒット曲で〝つかみはOK〟 ハイドンのオラトリオ『四季』の2回目です。 いよいよ春がやってきて、畑から雪が消えます。 農夫のシモンは、さあ、1年の仕事始めだ、とばかり、張り切って農具を担いで畑に出ていき、鋤で土を起こし、畝を作って、麦の種をまきはじめます。 このオラトリオで初めてのアリアは、農夫が種をまきつつ、口笛を吹きながら歌うのです。 ハイドンは、この楽しい歌に自分の曲、『びっくりシンフォニー(交響曲第94番〝驚愕〟)』の有名な第2楽章アンダンテの旋律を持ってきました。 みんなが知ってる自分の人気曲を、この長大なオラトリオの冒頭にもってきて、聴衆を沸かせて〝つかみ〟にしようとしたのです。 これは、かつてモーツァルトがオペラ『ドン・ジョヴァンニ』でやって、大ウケしたやり方でした。 第2幕フィナーレの冒頭、晩餐会のBGMとして、他の作曲家のヒット曲を2曲奏でたあと