アフガニスタンは回教徒(イスラーム)の国である。 ハラールの定めに従って、その国民は豚はもちろん酒も呑めない。 しかしながら外国人にまでそれを強要してしまうほど、彼らは狭量でなかったようだ。少なくとも、近藤正造滞在時にはそう(・・)だった。 アフガン人は、回教徒として酒を用ひないが、カーブルにゐる外国人は、一年間の飲み料だけ政府に申請して許可を受け、税関を通じて配給して貰ふことになってゐた。普通、百本を標準としてあるから、大いにやる人にはこれでは足りないので、特別の許可を申請しなければならない。日本人の中にはこの許可を受けなければならぬ程の人はなかったが、少量ならば特に許可を受けなくても、理由があればその都度税関が分けてくれることになってをり、地方ではそんなにやかましくないと聞いた。(『アフガン記』57~58頁) (カーブル) 「特別の許可」が必要とされたのは、主にイタリア人であったろう。