放流しても魚は増えない――。北海道大学が刺激的な論文発表のプレスリリースを配信しました。北海道は、人工でふ化させたサケ・マスを河川に返す稚魚の放流が盛んで、市民も参加していますが、「無意味」なのでしょうか。プレスリリースだけをみれば、誤解を招きかねない気がします。論文の共同研究者の一人に真意を聞きました。【谷口拓未】 発表された論文は、ノースカロライナ大学グリーンズボロ校の照井慧助教や北大大学院の先崎理之助教ら4人による共同研究だ。 2月7日にオンライン公開された。共同研究者の一人、北海道立総合研究機構さけます・内水面水産試験場で研究主幹を務める卜部浩一さん(51)に論文の詳しい内容を取材した。 種の保全や漁獲量増加を目指すふ化放流は国内外で広く普及する。国内はベニザケやサクラマスなどを指す「サケ・マス」の稚魚が毎年、20億匹ほど放流される。一方、人為的な介入は、多様な生物が共存する自然界
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