ファーウェイやTikTokなどをめぐって激しく対立するアメリカと中国。 その駆け引きを読み解くキーワードが「経済安全保障」だ。 実は今、「軍事力を使わない戦争」が始まっているという。日本はどうするのか。 (後藤匡) 「経済が武器」に? 「経済を使った戦争だ」 多摩大学大学院教授の國分俊史は、「経済安全保障」について、こう表現した。 國分は日本の「経済安保」研究の第一人者だ。「経済」と「安全保障」という異なる概念が、なぜ結びつき、重要な課題として語られているのか。 「今の米中の覇権争いは、軍事的な対抗措置を使わずに決着をつけるという大前提で始まっている。その代わりに、『経済』というツールのぶつけ合いで決着させるという『経済を使った戦争』になった。そこで『経済安全保障』という考えが不可欠になっている」 「安全保障」というと、かつての米ソ冷戦のように軍事的なことを想像しがちだ。國分は「いわゆる核