●リモート版「保坂和志の小説的思考塾 2nd」を昨日観た。以下は、感想であって要約ではありません(とはいえ、保坂さんの発言が曖昧に混ざっているので、オリジナルというのでもない)。 精神分析が、転移と逆転移によって成り立つのであれば、患者と分析家が互いを映し合う合わせ鏡のような存在となることによって分析が進行する。分析家は、(メタレベルに立つ)知の所有者でも(自らを主張しない)透明な媒介者でもなく、固有の色をもつ一人の人として、別の固有性をもつ患者の前に立ち、二人は相互に影響を与え合う。分析家の技量は、上位の階層から安定した技術を用いて患者を導くという風に発揮されるのではなく、同等の位置にいる相手と自分の相互の変化を通じて、患者が自ら治療するように導くことによって発揮される。この場合、分析家もまた変化することは避けられない。「再帰性」という語を使って保坂さんが言いたいのは、おそらくそういうこ