「音」という言葉で皆さんはどういったものを連想されるだろうか。自然の音、人工的な音、あるいはもっと物理的に何らかの振動によって生じる音など、人によって「音」に対する印象にも差異がある。 しかし、この「音」という字に「楽」という一文字を加え、「音楽」という言葉にすれば、意味合いは大いに変わる。なぜなら「音」という文字だけであれば、人間の感情は必ずしも伴わないが、「音楽」となれば「楽しむ」という人間としての情感が明確になるからだ。わかりやすい具体例を挙げれば、楽器は音楽の表現手段であるが、そのモノだけでは人を感動させる音楽には結びつかない。楽器はヒトが「演奏する」という行為によって、初めて音楽という感動を生みだす材料に変わるのだ。 今日、上記のような「音」ないし「音楽」は、世の中に限りなく溢れている。私たちは無意識のうちにそうした音空間の中で生活している。しかし、多忙で忍耐を強いられる日本社会