前衛芸術の旗手で、海外でも高く評価される美術家の瑛九(えいきゅう)(1911~60年)。戦前から戦後に活躍し、埼玉県浦和市(現さいたま市浦和区)で生涯を閉じた。そのアトリエは、守り続けた妻の都さんが6年前に亡くなり、有志の保存活動もむなしく1月に解体。「このままでは、若手芸術家が集ったアトリエが忘れられる。岡本太郎に匹敵する瑛九の魅力をもっと広めたい」。有志が団体を設立し、今秋に展覧会を企画する。(出田阿生)
![「岡本太郎に匹敵」前衛美術家・瑛九の記憶つなぐ 芸術家が集い妻が守ったアトリエ惜しみ展覧会企画:東京新聞 TOKYO Web](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/54516994aae131d0c7d0d4694365699ea3b7d240/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fstatic.tokyo-np.co.jp%2Fimage%2Farticle%2Fsize1%2F6%2F1%2F5%2Fb%2F615bc684c72f9580b251c4904e78b692_1.jpg)
1983年に勁草書房から出て「ニューアカデミズム」と呼ばれる知の潮流の先駆けとなった思想書『構造と力』が近く、中公文庫からも刊行される。40年の節目に古典として定着させるのが目的かと思いきや、著者で京都芸術大教授の浅田彰さん(66)はこう強調した。「僕が主張したことは意味を失っていないはずだ」。空気を読んで他者とのあつれきを避けようとする傾向が強い今こそ、本書を手に取る意義があるという。
「戦争論で有名な(プロイセンの軍事学者)クラウゼビッツは、戦争を『政治の延長』と指摘した。戦争は政治の目的を達成する形で終結すると考えられていた。しかし、2度の大戦は総力戦になり、国家が崩壊するまで戦争するようになった。政治の目的に従属せず、お互いの破壊力を究極までせり上げる『純粋戦争』が基本形態になった。抑止力論はこのせり上げで勝ったら相手は断念するはずだという理論で、核兵器を正当化する」 抑止力 相手が武力攻撃すれば、報復して大きな損害を与えられる軍事力を持ったり、同盟関係を築いたりすることにより、侵略を思いとどまらせる力。米国の核兵器による「核の傘」も日本の抑止力の一つ。相手の抑止力を上回ろうと、互いに軍拡を競い合う「安全保障のジレンマ」に陥る恐れもある。
「知の巨人」と称されたジャーナリスト故・立花隆さんの取材資料の行き先が不透明になっている。4月に茨城県のテーマパークへの寄託が報じられたが、故人が遺志を明示していなかったため、相続人が判断しかねているという。「段ボール100箱分」とされる資料が廃棄されてしまえば、後進の研究者やジャーナリストの損失は計り知れず、交流のあった関係者は危機感を募らせる。(西田直晃) 都心から車で1時間半。茨城県筑西市の「ザ・ヒロサワ・シティ」の一室に、「ロッキード」と走り書きされたスクラップブック、「共産」と記された段ボール箱が積み上がっている。立花さんが残した取材資料の一部だ。「ネコビル」と呼ばれた都内の事務所から6月、運び込まれた。民法上の「寄託」の位置付けで、立花さん側に代わって保管する前提だった。 「彼は日本政治を変えた男だし、何より茨城から世に出た。全資料を保管し、いずれは公開したい」とシティを運営す
路上で暮らすなど、生活に困窮する人たちに無料で画材を貸し出し、自由に絵を描いてもらう施設が、東京都板橋区の住宅街にオープンした。複雑な事情を抱えて語れぬことが多くても絵筆の先には「生き方が浮かぶ」のだという。貧困の現状を伝え、偏見をなくすきっかけにするため、ここで生まれた作品を紹介する展覧会の計画も進められている。(長竹祐子) 東武東上線大山駅から歩いて6分ほど。アーティストの尾曽越(おそごえ)理恵さん(71)=埼玉県和光市=が主宰する「アートスタジオ大山」は絵画やイラスト、立体作品まで美術表現がしたいのなら年齢制限なしで誰でも使えるアトリエ空間。1日あたりの利用料は1000円で、生活困窮者には無料で貸し出している。絵を描く場所ではあるが「お茶を飲みにくるだけでもいいから誰でも気軽に利用してほしい」と尾曽越さんは話す。
二〇〇九年まで四半世紀にわたり東京都台東区谷中や文京区根津、千駄木の話題と歴史を紹介していた「地域雑誌 谷中・根津・千駄木」。終刊後、地域イベントに参加するなどしていた発行元「谷根千(やねせん)工房」に解散の話が持ち上がった際、引き継ぐことを決意し、昨年六月に代表に就任した。この一年、工房の未来を考えてきた。 「谷根千」がエリアの代名詞になるほどの影響力を残した同誌の元編集人だったのが、作家で母の森まゆみさん。自身はフリーの大工として国内外の寺院や文化財の修復を手がけていたが、母から会社を畳むと告げられ、こう思った。「母たちが雑誌で伝え続けた谷根千の魅力を僕が残す番だ」 雑誌は自分が生まれた翌年、母が地元の仲間と創刊した。仕事で駆け回る母の姿をわずかに記憶しているが、関心はなかった。小学生で始めた野球に夢中だった。プロを目指していたが、大学一年で膝や肘を壊して夢を断念。大学も辞め、「中ぶら
二〇一九年の台風で地下収蔵庫が浸水した「川崎市市民ミュージアム」の被災から、市の文化政策を市民の目線で検証する集会が二十二日、東海道かわさき宿交流館(川崎区)で開かれた。 全川崎地域労働組合が主催した「川崎市市民ミュージアム『雇い止め』から『収蔵品被災』の市民による検証」。ミュージアムの元副館長で、雇い止めされたとして指定管理者のアクティオを訴えている浜崎好治さん(60)が、被災の問題点などについて説明した。
1日に文化庁長官に就任した作曲家の都倉俊一氏が16日の記者会見で、愛知県が2019年に開いた国際芸術祭「あいちトリエンナーレ」に文化庁が補助金を交付しなかった問題について、「主催者側のコミュニケーションの不備から、国民の税金を投入するわけにはいかない、という危機感があったと聞いている」と述べ、当時の判断を肯定する見解を示した。 あいちトリエンナーレでは、従軍慰安婦を象徴した少女像などを展示したことに批判が殺到。文化庁は「安全や事業の円滑な運営を脅かす重大な懸念があったのに、県から事前に報告がなかった」として、決定していた補助金を全額不交付とした。これに対し「文化庁が表現の自由の抑圧に手を貸した」と批判の声が上がった。文化庁はその後、一部を減額して補助金を交付した。 都倉氏は原則として、芸術祭は主催者が選んだ芸術監督の判断が尊重されるべきだとし「表現者の自由に任せるしかない。表現の自由は10
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く