問題だらけの卓越大制度、ギャンブルとしての大学ファンド 筆者は今回の卓越大制度について、問題点が多数かつ深刻であり、前述した戦後の3度の変革と比べても、最も悪手の変革になりうるとみています。 第1の問題点は、大学ファンドの助成を受ける卓越大の認定には、時の政権の意向が強く反映される一方、学術専門家の意見が従来になく軽視されることです。卓越大の最終的な認定権者は文科大臣ですが、首相が議長を務める内閣府総合科学技術・イノベーション会議(CSTI)の意見をふまえて選定することになっています。CSTIの議員は14名ですが、うち6名が閣僚で占められ、7名の有識者は首相による任名です。 これまで研究・教育にかかわる競争的資金は、日本学術振興会(JSPS)のデータベースに登録されている約14万人の研究者から同分野・近接分野の専門家が選ばれて、ピアレビュー方式で採否が決められてきました。大学ファンドからの