いつものように私は仕事を終えて駅から自分のマンションへの道を急いでいた。吐く息が白く、もう辺りは暗くなっている。時折吹く風は体の芯から熱を奪っていくように冷たく、刺さるようだ。自然と私の足取りは早足になっていた。 コツコツコツ 私のハイヒールの音が通りに響く。何故か今日は極端に人通りが少ない。少し恐くなってさらに私の足はスピードが上がった。 コツコツコツ ぴたんぴたんぴたん 何? 変な音が付いてくる。 マンションまではまだ距離がある。なんて事。いつもは割と人通りがあるこの道を、本当に今日は猫の子一匹通りはしない。 「まてーい、そこの処女!」 えーはいはい、私は処女ですが何か?と言うお人よしはいない。こんな奴を待ってはいけない。いきなり人の事を処女呼ばわりする人間は、高確率で変態でコミュニケーション能力が不足したネットでしか発言できないようなブサメンで童貞の処女厨に違いない。 私は思わず走り