155ミリ榴弾砲を搭載したウクライナ軍戦車(2023年12月、シベルスク) PHOTOGRAPH BY TAKASHI OZAKI <ゼレンスキー政権が挑んだ反転攻勢は失敗に。兵士や関係者の証言から見えたのは、戦力の分散による膠着と増え続ける犠牲だった> 「一緒に行くか?」 昨年12月、クリスマスツリーが飾られた兵舎で分隊長のユージン(39)が筆者に声をかけた。突然の呼びかけに「ドブレ(いいね)」と答え、泥だらけの軍用車に乗り込む。 ウクライナ東部ドネツク州バフムート地区のシベルスク市。ウォロディミル・ゼレンスキー大統領が対ロシアの反転攻勢における最重要地点としたバフムート方面軸の北部にある。昨年の本誌8月1日号で紹介したウクライナ軍の前線本部が9月に砲撃で破壊され、そのためシベルスクに駐留する部隊が、バフムート市の北側で展開される作戦を担っていた。 ミサイルが直撃し、穴だらけになった道を
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