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ブックマーク / www.anlyznews.com (34)

  • 憲法改正論者が芦部信喜を知らないという事は

    参院予算委員会で民主党の小西議員が安倍総理に憲法クイズを仕掛けたことが話題になっている。 安倍総理は著名憲法学者の芦部信喜を知らないと答えたのだが、これによって熱心な憲法改正論者である安倍総理が憲法解釈を理解していない懸念が出てきた。 これは安倍総理の改憲論の妥当性に疑問を抱かせるものだ。憲法解釈が分からなければ、現在の日国憲法の問題点も理解していない事になるからだ。 1. 憲法は憲法解釈無しでは意味不明 日国憲法は事細かに書かれた文章ではないので、実際には憲法解釈とともに機能している。例えば、「公共の福祉」と言う表現は、通常は一元的内在制約説により、人々の権利と権利が衝突するときの調整を図るための概念として理解されている。 2. 現行憲法を理解しないで改正を訴えている? 芦部信喜と言う憲法学者を知らないことが問題なのでは無く、憲法を理解するための憲法解釈を知らないまま、憲法改正を訴え

    憲法改正論者が芦部信喜を知らないという事は
  • ゾンビ企業の延命が、直接、経済を悪化させるわけでは無い

    よくソフトな予算制約がゾンビ企業を延命して、経済全体を悪化させると言う議論がある。これは正確ではないかも知れない。 どういう事かと言うと、ゾンビ企業の延命は金融機関にとって割引現在価値(NPV)が正になるので、金融機関にとってもゾンビ企業にとっても追い貸しは得になり、経済を改善する事になるからだ。 ゾンビ企業を延命させる事によって新たなゾンビ企業の発生を促進する事が、経済に悪影響を及ぼすと言うほうが適切であろう。 1. 一回限りの追い貸しゲーム 以下のような展開形ゲームで考えてみよう*1。 金融機関が融資を行い、企業が健全経営を行ったときを「健全」とする。金融機関と企業の利得は(5-m, 2)とする。企業が放漫経営を行い、金融機関が追い貸しを行う場合は、「追い貸し」とする。金融機関と企業の利得は(1-m, 3)とする。企業が放漫経営を行い、金融機関が清算するときは、「清算」とする。金融機関

    ゾンビ企業の延命が、直接、経済を悪化させるわけでは無い
  • 原発規制の理由を理解していない池田信夫

    経済評論家の池田信夫氏が「原子力規制委は原発を危険にしている」で、政府と原子力産業の利害関係が一致していると主張しているのだが、利害関係が一致していたら、規制など何も要らない事になる。経営側がリスク選好的になりがちだから、色々な産業で安全規制があるのだが、よく理解できていないようだ。また、バックフィットに関して引用無しの独自理論を展開している。 1. 原子力産業が負担するリスクには上限がある エージェンシー理論的に説明しよう。原子力産業は安全管理コストが少ない方が利益が大きくなる一方で、原発事故が起きても賠償を払いきれずに破綻するだけになる。原子力産業が背負っていける程度の事故であっても、経営者や従業員は、せいぜい解雇されるぐらいで、大きな賠償責任を負わない。 2. 負担リスクに上限があると、リスク選好的になりうる 原発周辺住民は事故による被害をほぼ無制限に受ける一方で、原子力産業は負担す

    原発規制の理由を理解していない池田信夫
  • 三橋貴明は日銀総裁を批判すべき点すら分かっていない

    経済評論家の三橋貴明氏が白川日銀総裁を批判しているが、おかしい事になっている。 2010年11月4日の講演で言及された、労働力人口の減少の影響に納得がいかないらしい。一般向けの講演だから明確に説明していない所もあるから、勘違いしているようだ。 労働人口が減っていることが問題ならば、デフレではなく「インフレ」になるでしょうが・・・・。こんな子供でも見抜けるような「ウソ」を平気で口にする日銀総裁を存在させている時点で、日政治は病んでいます。 労働力人口の減少は、供給も減らすし、国民所得の低下をもたらすので、需要も減らす。だから、これだけではデフレ要因ともインフレ要因とも言いがたい。しかし、どちらかと言えばデフレ要因であろう。 ノーベル賞経済学者の書いたDiamond(1965)の教える所によれば、均衡実質金利の低下をもたらす。均衡実質金利がマイナスになったら、流動性の罠にはまるのでデフレで

    三橋貴明は日銀総裁を批判すべき点すら分かっていない
  • 自民党の憲法改正案の第12条が、ソビエト憲法と似ている件

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    自民党の憲法改正案の第12条が、ソビエト憲法と似ている件
  • 問題は政治家の決断力や説得力なのであって、日本国憲法ではない

    安倍総裁や石破幹事長は、党内を引き締めにかかるべきだとは思う。参議院議員の西田昌司氏が国民主権を否定して、片山さつき氏が基的人権を否定していると、騒ぎになっている(togetter)。 西田氏は「そもそも国民に主権があることがおかしい」とテレビ番組で言ってのけたそうだ*1。自民党憲法改正案には「国民主権」と明確に書いてあるので、自民党方針と合致しない。片山氏は天賦人権論を否定している*2。自民党憲法改正案には「基的人権は、侵すことのできない永久の権利(十一条)」とあるので、天賦人権論を認めている。つまり、自民党方針と合致しない。 1. 自由及び権利と責任及び義務は連結してはいけない 西田氏や片山氏のような現行憲法はおろか、自民党憲法改正案すら否定する自民党議員が現れるのは、自民党憲法改正案に「自由及び権利には責任及び義務が伴う(十二条)」と言う発想があるからであろう。 この発想は、自由

    問題は政治家の決断力や説得力なのであって、日本国憲法ではない
  • 自民党の憲法改正案の前文が、中華人民共和国憲法と似ている件

    自民党の安倍総裁が憲法改正を選挙テーマにすると言い出したぐらいから、自民党の憲法改正案が注目されている。しかし、自民党の憲法改正案の中身がメディアで大きく報じられていないのが残念だ。自民党の価値観が色濃く出ている。 前文を読むと、長い歴史、固有の文化、国と郷土を誇りつつ、規律、相互扶助、成長路線、伝統継承を国民の義務だと主張している。自国を誇る前文は中華人民共和国憲法の特徴で、自民党が目指している方向が体制国家のように感じ無くもない。 日国は、長い歴史と固有の文化を持ち・・・我が国は、先の大戦による荒廃や幾多の大災害を乗り越えて発展し、今や国際社会において重要な地位を占めており・・・ 中国の方が自民党よりは雄弁だが、結局は同じような自慢話に過ぎない。 中国は、世界でも最も古い歴史を持つ国家の一つである。中国の諸民族人民は、輝かしい文化を共同で作り上げており、また、栄えある革命の伝統を持っ

    自民党の憲法改正案の前文が、中華人民共和国憲法と似ている件
    kaos2009
    kaos2009 2012/12/05
    欧米の憲法との比較も読みたかった
  • 「美しい国、日本」な安倍晋三の政策にある問題点

    予想通りに自民党総裁になり、次の内閣総理大臣だと目される安倍晋三元総理だが、このまま上手く選挙を乗り切れるか、その後の政局運営が上手く行くかは分からない。 機能性胃腸障害で辞めたはずだったのに難病の潰瘍性大腸炎だった事はともかく、安倍氏の政治姿勢に議論を呼びそうなものがあるからだ。 安倍氏は改憲派で、教育改革に関心が強い。この関心事項に問題はないが、安倍氏が改革したい方向が問題になる。さらに経済政策を全面に出さないのは、経済政策への無関心を表している可能性がある。 1. 改憲の方向を示さない改憲 改憲は、改憲の容易化を主張しているが、具体的な改憲案を全面に打ち出して選挙が行われた事がないのに、改憲が不合理に困難であるかは分からない。改憲の容易化後に、何をどう改憲したいのかを明らかにする必要がある。真の目的を明らかにしないと、その前段である第九十六条の修正も否定される可能性が高いであろう。も

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  • 石原慎太郎の冒険の終わり

    東京都知事の石原慎太郎氏の日外交を危機に晒すための冒険が終わったようだ。政府が尖閣諸島を購入することになった。 尖閣諸島に船溜などの施設を建設して日の実効支配を誇示すると言うものだが、国際法や軍事面から見て意味が無く、国際的には尖閣諸島に“紛争”がある事を宣伝してしまい、中国人民を挑発するだけだからだ。既に中国でデモから暴動も発生しているが、これに拍車をかける意味が無い。 日側の主張を中国政府や中国国民に通すには粘り強い広報活動は求められ、稚拙な挑発行為は回避すべきように思われる。 1. 国際法上は意味が無い 国際法では紛争発生後の実効支配は法的根拠とならない。ゆえに1971年以降の日中の行動は領有権の根拠にならないし、そもそも徴税など政府活動が重要になり、建設物が実効支配の根拠にはならないようだ*1。国際世論を考えても、実行支配しており領土問題は無いとしている日が国際社会にアピー

    石原慎太郎の冒険の終わり
    kaos2009
    kaos2009 2012/09/16
    実行支配している方が騒ぎ立てる愚行
  • 法人税と利子所得課税が不足している

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  • 男女格差のデータは女性差別を意味するか? ─ 社会学者・小宮友根の誤診

    所得や就業率で男女不平等を表す統計データは多々ある。しかし、それが女性差別を表すと言えるかは、厳密には難しい。男女差別が無くても、もし男女で能力差や選好の差があるのであれば、男女格差が観測されるからだ。データ分析としては良くある問題ではあるが、どうも問題である事を理解できない社会学者が多いようだ。 例えば社会学者の小宮友根(@frroots)氏が、ブログの「2.1. 性別分業の影響」で説明している、潜在的労働力率と就業率の差(以下、就業率ギャップ)が、女性差別を意味するのであろうか? 1. 潜在的労働力率は求職していない人を含む統計 潜在的労働力率の定義に注意する必要がある。(就業者数+完全失業者数+就業希望者数)/人口だ。完全失業者と就業希望者が別枠なのに注意しよう。潜在的労働力率には、就職活動を行っていない就業希望者が含まれている。就職活動中になる完全失業者率では男女の差は無い(時事ト

    男女格差のデータは女性差別を意味するか? ─ 社会学者・小宮友根の誤診
  • 韓国電力不足で得られる教訓と衝撃

    ソウルをはじめ韓国各地で15日午後3時半頃から大規模な停電が発生、交差点の信号が消えたり、エレベーターに人が閉じこめられたりするなど混乱が広がった(読売新聞)。 韓国電力市場が発送電分離されており、安く電力が供給されていた事から、発送電分離が議論されはじめた日の電力政策に与える影響も少なくない。発送電分離が電力需給の最適化をもたらすとは限らない事は、より広く認識される事になるであろう。 1. 発送電分離され、低い電力料金の韓国電力市場 韓国の電力会社は、発送電分離されている。発電会社と、韓国電力公社(KEPCO)と、小売会社が電力取引所で電力の売買を行い、需要者へ供給を行っている。なお、原子力発電はKEPCOの子会社が行い、KEPCOに直接電力を売却している。制度的には比較的先進的だ。 電力価格も、2006年で家庭用が34%、産業用が39%ほど日と比較して韓国の方が安い(経産相)。その

    韓国電力不足で得られる教訓と衝撃
  • 「台湾人留学生への震災補助金を拒否」はガセ

    サーチナが、台湾人留学生が日政府が外国人留学生に対して支給している東日大震災の補助金の受け取りを拒否されたと報じている。同記事によると学校側が「台湾は国家ではないため、台湾からの留学生は補助金を受け取る資格がない」と説明したとあるが、(財)交流協会によると他の留学生と同様に補助金が支払われるように文部科学省から指示を受け支払いを行っているそうだ。 サーチナの該当記事と、サーチナの記事を転載しているポータルサイトの該当記事で数多くの批判的コメントがついている。親日家が多いとされる台湾の留学生を差別したと誤解したと憤っているが、台湾の主要誌「自由時報」の誤報によるガセ記事か、栃木県宇都宮市にある大学事務の誤解に基づく不幸のようだ。少なくとも日政府が拒否しているわけではないので、菅政権が中国政府に気を使いすぎているわけではない。 台湾人に対して感謝の意を表したり台湾人留学生を援助することが

    「台湾人留学生への震災補助金を拒否」はガセ
  • 日本は資本主義が通用しない国?藤沢数希の勘違い

    ブログ金融日誌の藤沢数希氏が、日は資主義が通用しない国だと村上ファンド代表の村上世彰氏の有罪確定を批判している(アゴラ)。 日の資市場の有り方への批判はともかく、同事件に関しては欧米型の法規制が適切に運用された結果のように思えるので批判したい。また、東京地裁の判決理由は覆っており、高裁はより慎重に、最高裁はより明確に規制を適用しているため、藤沢批判は勘違いに思える。 金融日誌には以下のような注意書きがあるのだが、ウェブ上ではそこそこの著名人なので、あえて藤沢数希氏の指摘を批判してみたい。 1. 資市場には情報の公平性が求められる 藤沢氏を批判する前に、インサイダー取引が、なぜ違法なのかを確認したい。 資市場は売買ゲームの側面があり、勝った負けたはプレイヤーの責任である一方で、プレイヤーが持つ情報を等しくするという非現実的とも言える指針がある。一部の関係者が特別な情報で勝ち続ける

    日本は資本主義が通用しない国?藤沢数希の勘違い