明確な国家観、一貫した世界観がない人間など、海にフラフラ漂うクラゲと一緒だ! ーーと、JR東海の葛西敬之元会長(2022年5月25日没)の遺書ともいうべき著作『日本のリーダー達へ』を読んでいて、死んだはずの葛西氏に、目の前でそう怒られているような気がしてしまった。何度か取材をさせて頂いたせいなのかもしれない。葛西氏の遺作を読んで真っ先に思った感想である。 【写真】敵艦に突入する零戦を捉えた超貴重な1枚…! 葛西元会長は、JR東海の実質的な創業者として、ボロボロの国鉄を日本を代表する企業へと変貌させた辣腕経営者である。葛西氏は、分割民営化前の国鉄の状況をこう説明している。 「経営が実質的に崩壊した当時の国鉄の状況を説明しますと、政府から毎年7000億円を超える助成金をもらっていました。それにもかかわらず、毎年の赤字は1兆円に上っていた。この最大の原因は労働生産性が低いことにあり、年収に占める