建築物としての歴史的価値が高いことから保存を求める声が上がっていた東京駅前にある旧東京中央郵便局舎(東京都千代田区)の再開発事業で、現存する昭和初期の建物はほとんど取り壊され、一部しか残らないことが分かった。日本郵政(JP)は「できるだけ残し後世に伝えたい」としていた。保存運動を展開してきた有識者や建築家らは「継承とはいえない」と批判を強めている。 (越守丈太郎) JPによると、同局舎の中で残すのは、東京駅丸の内口に面した正面部分。詳細なデータは公表できないとしているが、概略図などから保存されるのは現存の建物の六分の一程度とみられる。 この部分の四階にある現在の局長室(約九十五平方メートル)を局舎の歴史などを紹介する展示室として整備し、一般に開放する。来月からのアスベスト除去工事を手始めに再開発に着手し、二〇一一年度末完成の予定。