8月下旬、ある国際会議出席のため北朝鮮と国境を接する中国吉林省の省都、長春に足を運んだ。地元の大学教授に案内されたのが、北朝鮮政府直営の料理店である。従業員は全員、出稼ぎの女性達であり、民族衣装を着て給仕し、将軍様こと金正日総書記を讃えて歌い、踊る。常連の教授によると、彼女達の給与は人民元で月800元だが、平壌にピンハネされて残るのは200元。1元は12円程度だから、たった2400円か、と思わず「美女軍団」に同情しかけたが、教授は「何しろ平壌の大学の教授の給与は元に換算すると5元(60円)に過ぎません。彼女たちは食住ただなので全部貯め、1年間嬉々として勤めて帰るのです」という。 長春では同じ職種の給与相場は1500元なのに、出稼ぎの彼女達はピンハネ前でもその半分近い。平壌の大学教授の月給では長春ではビール一本も買えない。なぜこうも、絶望的にまで格差が通貨間で開いたのか。 日銀官僚やその