岩手県雫石町の小岩井農場まきば園にある「SLホテル」が、施設や冷暖房設備の老朽化で昨年11月から長期休業に入っている。営業開始から32年。このまま閉鎖となる公算が大きい。宮沢賢治の童話「銀河鉄道の夜」をイメージできると評判だった施設は、静かに長旅を終える。 ホテルを経営する小岩井農牧によると、「当面、臨時営業などの予定もない」という。施設の傷みはひどく、冷暖房設備の修繕費だけで数百万円かかると見込まれ、営業再開は厳しい情勢だ。 全国でも珍しいSLホテルは1977年に開業した。「デゴイチ」の愛称で親しまれたD51形蒸気機関車に、3両の客車が連結している。 客車には17の客室があり、定員は52人。室内は寝台列車を再現し、2段ベッドが鉄道による旅情を醸し出す。トイレは共同で、入浴と食事は隣接のクラブハウスを利用していた。 大型連休や夏休みを中心に、多くの鉄道マニアから愛されてきた。賢治フ