小さい頃、僕は両親を『ママ』『パパ』で呼んでいた。そう教えられたのだと思う。小学校中学年以降になると周りがお母さん、お父さんに移行する上、授業で使う教科書の呼称も『お母さん』『お父さん』だった。それに従い皆が呼称を移行し始める。 僕はと言うと迷っているうちにうまく移行できず、『ねぇ』『あのさー』と呼んでいるうちに母と言う人を指す呼称自体がなくなってしまった。この歳になっても『お母さん』と『息子』の関係に入れない。第三者に伝える時は難なく『母』なのだけど、対面で呼ぶときは『名前+さん』に落ち着いた。 何故移行しそびれたのか、自分の中では2つ説がある 1. "皆がそうしていることへの嫌悪感" 2. "『母親と息子』という固定された関係で捉えていると母に思われたくない" (父親は色々と酷く、既に母とも離婚しているし、連絡も途絶しているのでここでは扱わないものとする) この2つのどちらか、又は複合