その日は火葬担当だった。 受け入れや収骨をしないので遺族とは一日を通して関わることは無く、火葬炉室で一人黙々と火葬炉に向き合う。 一つ一つの炉に火葬炉番号、受け入れ時刻、名前、年齢が印字された紙が貼られており、着火、消火した時刻を火葬担当が書き入れる。 その一つに「T田」という苗字を見つけて、この方とは無関係だが、以前デイサービスセンターに介護職員として勤めていた時のことを思い出した。 デイサービスを利用していた当時70代だったT田さんは団地の一軒家でお姉さんと二人で住んでいた。T田妹さんが認知症になり、T田姉さんがお世話をしていた。 朝送迎車で迎えに行き、体調や生活の様子、デイサービス利用中に気を付ける事等を家族に尋ね、夕方自宅へ送る時にはデイでの様子等を家族に伝える。 ある朝迎えに行った時、T田姉さんに名前を尋ねられた。 上着を羽織っていたのでめくって名札を見せ「天然です」と名乗った。

