「あん古都」京都の奥深さについて。今回は焼き菓子を取り上げたい。 キラ星が多すぎて、選択が容易ではないが、たまたま出会った「本家玉壽軒(ほんけたまじゅけん)」の二品をご紹介したい。 つぶあんとこしあんの絶妙な焼き菓子。 「くずや」と「茶つう」という老舗らしい菓子名で、上生菓子やまんじゅう、餅菓子とはひと味違う、凝った味わいを楽しめる。 ●あんポイント 「本家玉壽軒」の創業は慶応元年(1865年)。現在6代目。西陣の織屋「井筒屋」から菓子屋に転じた老舗で、明治に入ってから屋号を「玉壽軒」に変え、菓子屋専業になっている。京都の老舗中の老舗でつくる「百味會(ひゃくみかい)」のメンバーでもある。 【出会うまで】 京都独自の大徳寺納豆を使った「紫野(むらさきの)」が有名だが、私の興味はむしろ冬期限定の名物、酒まんじゅう「高砂饅頭(たかさごまんじゅう)」だった。 今出川通りに面したレトロな表屋造りの暖