「魚はおかしくなっちゃった」。伝説の鮨職人が憂う鮨の“未来” 本当に魚はおかしくなっちゃったね。 カツオはないわ、マグロは来ないわ、季節や旬が二十年前とはすっかり変わっちゃった。 この店を始めた昭和四〇年(一九六五年)頃は、ほしいものは何でも手に入ったんです。夏場にかかってくれば、天然のシマアジはちゃんと出てくるし、秋口になればイナダやカンパチが並ぶ。季節季節で旬の魚が全部出てきた。でも、いまは、それがすっかりなくなっちゃったんだから。 開口一番、江戸前鮨の危機を語るのは、銀座「すきやばし次郎」の初代・小野二郎さんだ。「すきやばし次郎」といえば、六年連続でミシュランの三つ星を獲得、「現代の名工」にも選ばれた二郎さんにスポットをあてたドキュメンタリー映画「二郎は鮨の夢を見る」(デビッド・ゲルブ監督・二〇一三年二月公開)も話題となり、その知名度は世界的なものとなりつつある。二郎さんの話は続く。