国際犯罪学雑誌2007年4月号に掲載された論文、「麻薬取引用紙幣と一般貯蓄金の違い」より。 麻薬(ここではヘロイン)取引に使われた現金には、微量ながら麻薬が付着している事が多いのだそうである。この論文の著者たちは、3つの場合にわけて、麻薬が付着するプロセスを検討し、一般流通紙幣の麻薬付着可能性との比較を行っている。 残念ながら、無料では論文の抜粋しか読めないので、計算の詳細はもう一つはっきりしないのだが、麻薬取引現場に持ち込まれた紙幣を質量分析にかけると、その麻薬汚染率は相当高く、その金と10週間一緒に保管された紙幣にもかなりの割合で汚染が移行する。 これは、数学的モデルから予測される一般流通紙幣の汚染可能性が0.3%であることと比べ、有意に高いものであるとのこと。これを利用して、取引された麻薬量を推測するだけでなく、麻薬蔓延状況の指標を得ることも出来るというのが、著者たちの結論である。