平成27年9月9日、午前5時。社畜の朝は早い。今日のような台風の日はなおさらで、試されるのは社畜力。僕は、交通機関の遅れを予想し1時間早く出勤したが、出勤直後に自宅待機命令が出されているのを知る。非常なのか、非情なのか、わからない。 自宅待機命令にもかかわらず定刻までに何人かの社員が出勤してきた。僕や彼らに自宅待機命令が出されていなかったことに驚いたけれど、仕事上での目立った活躍を見たことのない彼らが、覇気のない顔で西日の当たる窓際や空調が直撃する場所に与えられた席に座り、アクビをしながらYahoo!ニュースを閲覧しているのを目撃してしまうと、驚きは失せ、諦めが心に広がっていった。地獄だ。ここは地獄なのだ。 任せられている仕事がある。3ヶ月の自宅療養から復帰した営業課長の僕には、一部上層部により進められている《営業部門外注化》のための販路の確保や顧客リストの作成という重要な仕事がある。仕事