ミランダ・ジュライ──映画を撮ればカンヌのカメラ・ドールを、小説を書けばフランク・オコナー国際短編賞を受賞し、横浜トリエンナーレの出展作品では檀ふみを号泣させ、夫である映画監督のマイク・ミルズには「理想の女性」と言わしめる。唯一無二の存在感を放ち、日本にも多くのファンを持つ彼女の初めての長編小説『最初の悪い男』が、8月に発売されました。 本作の刊行を記念し、翻訳を手掛けた岸本佐知子さんに、ミランダ・ジュライという作家の独自性について、お話を伺いました。 文=清藤千秋(SPBS編集部) インタビュー写真=福田直記 名も知らぬ作家の処女作が、居ても立ってもいられないほど面白かった! 岸本佐知子さん ──ミランダの処女作『いちばんここに似合う人』が、日本で刊行されたのが2010年。その翻訳も岸本さんが担当されていますが、どのような経緯で翻訳を手掛けることになったのでしょうか? 岸本:私はずっと、