来年3月にリニューアルオープンする、大阪・天王寺の大阪市立美術館。開館に先立ち、竣工した館内が公開された。 大阪市立美術館は1936年に日本で3番目の公立美術館として、住友家本邸跡に開館。現在、国宝、重要文化財を含む約1万3500件を収蔵している。開館以来の規模となる今回の大規模改修では、国の登録有形文化財である建物の外観を保全するとともに、展示・収蔵環境を向上させ、無料ゾーンや公園の地上面から入ることができる新エントランスなどを整備。より親しまれ、開かれた美術館を実現しようとしている。

DIC川村記念美術館が休館へ。美術館運営の位置づけを再検討DIC川村記念美術館を運営するDIC株式会社が、美術館運営の位置づけを再検討。2025年1月下旬からの休館を決定した。 DIC株式会社(以下、DIC)が運営する千葉・佐倉市のDIC川村記念美術館が、2025年1月下旬から休館することを決定した。 DICは同館とコレクションを保有資産という観点から見た場合、資本効率という側面においては必ずしも有効活用されていないと評価。資本効率の改善を経営課題として掲げる同社としては、社会的価値と経済的価値の両面から、美術館運営の位置づけを再検討すべき時期にあると結論づけ、外部の視点から同社取締役会への助言を得るための「価値共創委員会」を設立したうえで議論してきた。その結果をまとめた委員会から同社取締役会への助言内容が、8月9日開催の同取社締役会において提出された。 価値共創委員会は「美術館の存在価値
都知事選を契機に検証する、小池都政の文化政策7月7日に投開票される東京都知事選。56人というこれまでにない候補者が争う今回の都知事選を契機に、文化政策の専門家である同志社大学・太下義之が、小池都政の文化政策を検証する 文=太下義之 ① はじめに 今般の東京都知事選は、現職の小池百合子氏と前参院議員の蓮舫との一騎打ちになるとの報道がなされている。そこで、両候補の公約において、文化政策がどのように表現されているのかを確認してみたい。 小池百合子氏は、「スマートシティ いままでもこれからも。もっと!安心で、活力あふれるまちへ」という項目のなかで、「観光・芸術・文化世界一の都市の実現」を掲げている。そして、文化に関連する事項としては、「江戸・東京の文化を世界遺産に」「ナイトタイムエコノミーの推進で夜も楽しめる東京へ」「観光振興の更なる加速」「新たな文化芸術祭の開催」の4つを示している。 また、蓮
李禹煥が語る「坂本龍一の音と音楽」坂本龍一が敬愛するアーティストであり、『12』のアルバムジャケットも手掛けた李禹煥。2022年の夏に「李禹煥」展の関連プログラムとして行われた松井茂(詩人・情報科学芸術大学院大学[IAMAS]メディア表現研究科准教授)との対話のなかで、彼が語った「坂本龍一の音と音楽」についての一部を抜粋・編集しお届けする。 構成=牧信太郎 なんにもない部屋の「音」を録る 坂本龍一さん自身と実際に知り合ったのは最近の話なのですが、彼の音楽は、映画音楽も含めて、昔から聴いていました。それであるとき、偶然に映画の『レヴェナント: 蘇えりし者』(音楽=坂本龍一、アルヴァ・ノト、2016)を見てたんですが、映画のなかで流れている風の音が「変な」ことに気づいたんです。これは本当の風の音なのか、そうじゃないのか。音がちょっと揺れたり、切れたり離れたり、それが面白いなと思っていたら、ほか
──江口さんは漫画家/イラストレーターとして、1977年のデビュー以来、多岐にわたる仕事を手がけてきました。近年は金沢21世紀美術館で開催された「江口寿史イラストレーション展『彼女』」(2018)を皮切りに、全国で展覧会を開催されてきました。こうした展覧会という形態で自身の作品を見せる、ということは江口さんにとってどのような試みなのでしょうか。 イラストを集めて画集を作ることと、展覧会で見せることでは、勝手が全然違いますよね。会場によって見せ方も変わるし、常に同じものにはならない。「東京彼女」(2023年3月14日〜4月23日、東京ミッドタウン日比谷 BASE Q HALL)で9か所目の展示になりましたが、これまでの展覧会は全部違います。会場によって配置も違いますし、どの作品を大きくするか(デジタルで制作したイラストを大きな出力原画にする)など、絵を描くこととはまったく異なる頭を使います。
八甲田山麓に位置する青森公立大学 国際芸術センター青森(ACAC)。この自然豊かな地において、染色を通じてオセアニアと日本の造形論を読み解く福本繁樹と、日本の伝統と現代的な技法から藍染めの可能性を追求し続ける福本潮子の展示「発現する布—オセアニアの造形と福本繁樹/福本潮子」が開催されている。展覧会のレポートはこちら。 本展は、3つの作品群によって表現媒体としての「布」の可能性に着目するもの。南太平洋メラネシアのタパ(樹皮布)や編み布など、織物以前から伝わる手仕事による布や、オセアニアと日本の造形論への洞察を通して「染め」にしかできない表現を追求してきた福本による作品、そして藍のもつ透明感や精神性を美術へと昇華し、地方の生活と労働のなかで生み出された古い自然布を用いた福本による作品は、鑑賞者に自然と人の関わりあいから生まれたかたちや表現について思いを馳せるきっかけを与えてくれる。 会期:20
国が認定した日本初のIR「大阪・夢洲地区特定複合観光施設区域整備計画」。この広報資料が物議を醸している。 このIRはオリックス株式会社と合同会社日本MGMリゾーツとが共同投資する大阪IR株式会社が推進するもの。この資料のなかで、送客施設「関西ツーリズムセンター」のイメージ図に奈良美智《あおもり犬》と酷似した作品が配置されている。 同作は奈良の代表的な立体作品のひとつで、青森県立美術館に設置されているもの。約8.5メートル、横幅約6.7メートルの真っ白な作品は、同館を代表する作品として親しまれている。 奈良は自身のTwitterで、「大きな犬の自作イメージが出てくるのだが、使用を許可したこともない、というか許可自体を求められたこともない。法律に詳しい方に聞いてみよう。そして、カジノとか、自分は基本的に好きではないです。」とコメント。掲載許可がなかったことを明らかにしている。 また奈良作品とは
高騰する美術館の特別展料金。秋の入館料調査が示すものコロナ禍以降、上昇傾向にある日本の美術館・博物館の鑑賞料金。時には2000円を超えるような料金設定があるなか、その実態と背景を『日本の博物館はなぜ無料でないのか?―博物館法制定時までの議論を中心に― 』の著者で博物館制度に詳しい瀧端真理子(追手門学院大学教授)が分析する。 文=瀧端真理子(追手門学院大学教授) (C)Unsplash コロナ禍以降、日本のミュージアムの料金が上昇傾向にあり、時に2000円を超える入館料が発生するなか、美術館がこれまで以上に「遠い存在」になるのではないか──編集部からの問題提起を受け、国内美術館の料金(常設展、特別展)を調査してみた。 調査対象と手法 調査対象には全国美術館会議正会員406館(2022年6月2日現在)のなかから、各地を代表すると思われる111館を選んだ。選択が主観的であることはお許しいただきた
川上幸之介研究室(倉敷芸術科学大学芸術学部)によるキュレーション展「ベッドタイム・フォー・デモクラシー(Bedtime for Democracy)」が、KAG(岡山・倉敷)とBUoY(東京・北千住)の2会場で開催される。 アメリカのパンクロックバンド、デッドケネディーズは、アルバム『ベッドタイム・フォー・デモクラシー』のなかで、民主主義と資本主義の分かち難い共犯性を歌っている。本展会のタイトルは、ロナルド・レーガンが主演した1951年のコメディ映画『Bedtime for Bonzo』に由来したもので、歌詞にはレーガノミクスをはじめとして、新自由主義、戦争、メディアの氾濫、娯楽産業(余暇と消費)、マッチョイズム、それらへの見せかけの反抗への糾弾、そして難民やクィアへの擁護といった、周縁への配慮も示唆されている。 これらの観点を踏まえつつ企画された本展には、10組のアーティスト、活動家、哲
なぜ開館できたのか? 大阪中之島美術館館長・菅谷富夫に聞く構想から約40年という異例の時間を経て今年開館した大阪中之島美術館。財政難や整備計画の白紙などいくつもの困難を、関係者たちはどのように逆転したのだろうか? 3名のキーパーソンと識者にインタビューし、開業までの経緯や将来像などを振り返る。第1弾は館長・菅谷富夫。 文・聞き手=永田晶子 大阪中之島美術館 撮影=筆者 大阪市が構想を打ち出してから約40年。大阪中之島美術館が今年2月ついに開館した。隣接する国立国際美術館をはじめ文化施設や歴史的建造物が集積する中之島エリアという好立地。黒い直方体の建物は内部に巨大な吹き抜けがあり、全体の延べ面積約2万平方メートルと関西最大級の美術館だ。6000点を超す所蔵品は国内指折りの近現代美術・デザインのコレクションと言われ、日本第2の都市が培ってきた文化の厚みが実感できる。 完成した美術館を見ると改め
史上初、国宝89件をすべて展示へ。東博創立150年を記念する特別展1872年に発足した東京国立博物館が、今年開館150年を迎えることを記念し、かつてない特別展「国宝 東京国立博物館のすべて」を10月18日より開催する。 東京国立博物館 1872年に発足し、日本で最古の博物館として知られる上野の東京国立博物館。同館が開館150年を記念し、特別展「国宝 東京国立博物館のすべて」を開催する。会期は10月18日〜12月11日。 そもそも東京国立博物館は、1872年に旧湯島聖堂の大成殿で開催された博覧会を機に「文部省博物館」として発足したものがその前身。1881年には上野公園にジョサイア・コンドル設計の建物(旧本館)が竣工し、翌年に現在の地に移転した。その後、「帝国博物館」「東京帝室博物館」「国立博物館」と名前を変え、1952年に現在の名称である東京国立博物館へと改称された。 日本でもっとも長い歴史
プッシー・ライオットらがNFTで約8億円の資金を調達。ウクライナのNPOに寄付ウクライナを支援するため、プッシー・ライオットらが2月25日に立ち上げた資金調達プロジェクトが、合計715万ドル(約8億2700万円)の資金を調達した。収益はウクライナの非営利団体「Come Back Live」に寄付されるという。 PartyBid「ウクライナDAO」のページより プッシー・ライオットの創設メンバーであるナジェージダ・トロコンニコワが、Trippy LabsとPleasrDAOのメンバーとともに立ち上げた、ロシアの侵攻を受けてウクライナを支援するための資金調達プロジェクトが、わずか6日で715万ドル(約8億2700万円)の資金を調達した。 トロコンニコワらは、ロシアの侵攻開始の1日後である2月25日に分散型自律組織「ウクライナDAO」を立ち上げ、ウクライナの国旗を使ったシングルエディションのNF
ウクライナ侵攻に「NO」。アート界から相次ぐ反戦の声混乱が続くウクライナ情勢。アート界からもロシアによるウクライナ侵攻に反対する声が次々と上がっている。(本稿は随時内容をアップデートします) ウクライナ国旗 via Pixabay 2月24日にロシアが開始したウクライナ侵攻。全世界がその行方を見守るなか、アート界からも侵攻に反対する声が上がり始めている。 世界最大のミュージアムネットワークである「ICOM(国際博物館会議)」は、ロシアによるウクライナの領土保全と主権の侵害を強く非難する声明を発表した。博物館の専門家が直面するリスクや文化遺産への脅威に関する懸念を表明しつつ、迅速な停戦、交戦国間の即時調停、博物館の職員の安全確保と文化遺産保護のための協調努力を要請。「このような紛争と不確実性の時代において、ICOMは、この不確実性がウクライナのICOM会員、博物館職員、文化遺産の安全と安心に
「CAFAA賞2020」グランプリは金沢寿美に決定。新聞紙を鉛筆で塗りつぶし情報の可変性を星座のように描く現代芸術振興財団が主催する、プロフェッショナルなアーティストを対象としたアートアワード「CAFAA賞」。そのグランプリに金沢寿美が選ばれた。 現代芸術振興財団が主催する、プロフェッショナルなアーティストを対象としたアートアワード「CAFAA賞」。そのグランプリに金沢寿美が選ばれた。 「CAFAA賞2020」のファイナリストにはAKI INOMATA、金沢寿美、 田口行弘の3名が選出。6月から7月にかけて東京・六本木のピラミデビルにて各作家の個展が開催され、展示を踏まえたうえで最終選考を実施した。グランプリに選ばれた金沢には、賞金300万円と、英・デルフィナ財団への3ヶ月間の滞在制作の機会が授与される。 「CAFAA賞2020」展示風景より、金沢寿美《新聞紙のドローイング》(2021)
熱海を「日本一のアートの街」に。50組の現代美術家が参加する「ATAMI ART GRANT」がスタート都心からのアクセスも良い温泉リゾート・熱海。そのなかでも1、2の規模を誇る宿泊施設「ACAO SPA & RESORT(ホテル ニューアカオ)」が中心となり、アートプロジェクトを推し進めている。11月16日からは「ATAMI ART GRANT」と題したプログラムがスタート。約50組のアーティストによる作品を見ることができる。 日本屈指の温泉リゾートである熱海。ここがいま現代美術のプロジェクトで変わろうとしている。 熱海の地で1973年に赤尾蔵之助が開業したホテルニューアカオ(今年10月に「ACAO SPA & RESORT」に名称変更)。同ホテルが中心となり今年3月、熱海の魅力をアートで再発見することを目指したアートプロジェクト「PROJECT ATAMI」をスタートさせた。 ホテルニ
国内では初の大規模個展。「クリスチャン・マークレー トランスレーティング[翻訳する]」が東京都現代美術館で開催へ現代美術と音楽の交差点から作品を発表し、革新的な活動を続けてきたクリスチャン・マークレー。その日本国内初となる大規模な展覧会「クリスチャン・マークレー トランスレーティング[翻訳する]」が、東京都現代美術館で開催される。会期は11月20日〜2022年2月23日。 クリスチャン・マークレー エフェメラ:ミュージカル・スコア[部分] 2009 28枚の印刷物より Produced and published by mfc-michèle didier, Paris /Brussels (C) Christian Marclay & by mfc-michèle didier. Courtesy Paula Cooper Gallery, New York. アートと音楽の交差点から作
アカデミー映画博物館がロサンゼルスにオープン。こけら落としは宮崎駿のアメリカ初となる回顧展9月30日(日本時間10月1日)、アメリカ・ロサンゼルスのミラクルマイルにアカデミー映画博物館がオープンする。オープニング展覧会には宮崎駿のアメリカ初の回顧展「Hayao Miyazaki」などがラインナップされる。 9月30日(日本時間10月1日)、アメリカ・ロサンゼルスのミラクルマイルに、アカデミー映画博物館がオープンする。 同館はプリツカー賞を受賞した建築家であるレンゾ・ピアノが、レンゾ・ピアノ・ビルディング・ワークショップと共同で設計し、建設設計事務所のゲンスラーが建設を担当。映画製作の従事者と、芸術科学に特化した米国最大の施設となる。 アカデミー映画博物館の外観 Photo by Josh White, JW Pictures / (C) Academy Museum Foundation
2019年10月に発生した「令和元年東日本台風」によって9つの収蔵庫が浸水、現在も休館が続いている川崎市市民ミュージアム。被災リスクや修繕コストなどの観点から現在の施設での継続は困難とされていた同館だが、その取り壊しが正式に決定した。 川崎市市民ミュージアムは1988年11月に開館。建築は江戸東京博物館や九州国立博物館も手がけた菊竹清訓によるもので、博物館と美術館の複合文化施設として考古、歴史、民俗からポスター、写真、マンガまで多様な展示を開催してきた。 市の担当者によれば、8月30日に開催された川崎市議会文教委員会で取り壊しを正式に発表。取り壊しの時期は未定となっている。 川崎市は「市民ミュージアムあり方検討部会」を設置して新たな施設のための検討を行い、8月30日には市民ミュージアムの「新たな博物館、美術館に関する基本的な考え方(案)」を発表。新施設は2022年度中を目安に「基本構想」を
《平和の少女像》など「不自由展」出品作、名古屋市内で有志が再展示へ「あいちトリエンナーレ2019」のいち企画だった「表現の不自由展・その後」の再開運動を行っていた、「『表現の不自由展・その後』をつなげる愛知の会」が、名古屋市内で同展出品作の一部を再展示する。その意図とは? あいちトリエンナーレ2019のいち企画として行われ、展示中止を経て再開された「表現の不自由展・その後」。その出品作の一部が、名古屋市内で再展示される。 今回の展示は、「『表現の不自由展・その後』をつなげる愛知の会」が主催するもの。展示されるのは安世鴻の《重重ー中国に残された朝鮮人日本軍「慰安婦」の女性たち》、大浦信行《遠近を抱えて》、《遠近を抱えてpart2》、そしてキム・ソギョン、キム・ウンソンの《平和の少女像》だ。これらに加え、展示再開を求めてきた市民運動の記録なども展示予定だという。 「表現の不自由展・その後」は大
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