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  • 売国奴と罵られる「激辛トウガラシ」の苦難

    1枚の漫画は、時に長文のコラムより雄弁に政治質に光を当てる。そして漫画などのイメージは文字と違い、機械的なネット検閲に引っかかりにくい。言論や表現に対して強圧的な政権にとって意外とやっかいな存在だ。 「変態トウガラシ(変態辣椒)」という奇妙なペンネームの中国漫画家が最近、日中国で注目を浴びている。名は王立銘、41歳。性的にアブノーマルなわけではなく、いたって普通の常識人だ(「変態」はこの場合、中国語で「激辛」の意味になる)。王氏が最近、頻繁に日のニュースで取り上げられているのは、中国の習近平政権による言論や表現への締め付けと、改善の兆しがまだ見えない日中関係という2つの政治的な嵐に巻き込まれ、この夏から日への「亡命」を余儀なくされているからだ。 王氏は文化大革命のさなかの73年、下放政策によって上海から新疆ウイグル自治区に送られた両親の下に生まれた。文革終了後に上海に戻り、

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    kinbricksnow 2014/12/02
    “中国に帰らない覚悟はできている」と、王氏は言う。共産党が自分たちに反抗しない「愚民化政策」を続け、その統治が続く限り帰国はできない――そう考えるからだ”
  • 中国政府はなぜ人権派を根こそぎにするのか

    中国の人権派弁護士、浦志強(プー・チーチアン)氏が「騒動挑発」容疑で5月初めに公安当局に拘束されてから3週間余り。その後も中国では公安当局による記者や弁護士の拘束が続き、習近平政権はまるで民主派・人権派を根こそぎにしようとしているようでもある。89年の天安門事件から今年の6月4日で25年。政治的に敏感な時期とはいえ、かつてない摘発は共産党がまるで何かに脅えているようにも映る。相次ぐ拘束の背景には何があるのか。中国の民主活動家やリベラルな記者たちと長く交流し、浦弁護士とも家族ぐるみで付き合いのある阿古智子・東大准教授に聞いた。 ――浦弁護士に続いて、記者やほかの弁護士の拘束が続いています。 (浦弁護士の捜査に関連して拘束されていた)日経新聞重慶支局の中国人助手の家族に26日、「騒動挑発」罪での正式な拘留通知書が手渡されました。 浦氏の事件では浦氏のめいの弁護士と元サウスチャイナ・モーニングポ

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    kinbricksnow 2014/05/30
    “相次ぐ拘束の背景には何があるのか。中国の民主活動家やリベラルな記者たちと長く交流し、浦弁護士とも家族ぐるみで付き合いのある阿古智子・東大准教授に聞いた”
  • 中国を変えた男

    今から6年前の北京五輪直前、誌2008年8月6日号は『中国を変える47人』という特集を掲載した。経済開放が始まった80年代の中国で子ども時代を過ごし、青少年期に89年の天安門事件を経験。市場経済が大きく広がった90年代に社会に出る、という体験を共有した当時30〜40代前半の中国人を「革命第7世代」と位置づけ、それまでの世代とはまったく違う価値観を持つ彼らの素顔と中国の将来について探る趣旨の企画だった。 北京の弁護士、浦志強(プー・チーチアン、49歳)も「第7世代」として取り上げた47人の1人だ。浦について6年前の記事はこう紹介している。 消費者被害事件や、メディアの言論の自由にかかわる裁判を手がける北京の弁護士浦志強(43)は、今年の天安門事件記念日(6月4日)が近づいたある日、公安警察の車に乗せられ「6月3日と4日は家から出るな」と警告された。 公安が浦をマークするのは、その影響力ゆえ

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    kinbricksnow 2014/02/21
    “「まず忘れてほしくないのは、中国人民の権利が今も侵害されているということだ」と、浦は言う。「もう1つ忘れてほしくないのは、中国をそれほど悲観しなくてもいいということだ」。”
  • 「それでも私たちが中国に住む理由」が売れる理由

    もうすぐ日政府が尖閣諸島を国有化し、その後、中国各地でそれに抗議する反日デモが起きてから1年になる。去年は1月の台湾総統選に始まり、中国と世界を揺るがせた2月の重慶スキャンダル、9月の尖閣国有化と反日デモ、11月の共産党大会と、中国関連ニュースがこれでもかと世界を駆け抜けた。予想外の方向に事態がどんどん転がる薄煕来の事件も難儀だったが、何と言っても評価に窮したのが反日デモだった。 山東省青島市のイオンや湖南省長沙市の平和堂という日系スーパーがデモ隊の略奪にあって店がめちゃくちゃに破壊され、北京の日大使館には石が投げつけられた。その一方で、日に対する義憤にかられた人々が参加するはずのデモ隊はなぜか警察の誘導におとなしく従い、列の後ろの方は半分ピクニック気分で参加している――。一体どちらがデモの、そして中国の真実の姿なのか。正直かなり混乱した。 8月末、弊社から「在中日人108人のそれ

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    kinbricksnow 2013/09/05
    中国に優しい特集や本は売れないのだ。「中国という大難」「2014年、中国は崩壊する」ネガティブなコピーが並ぶ。ネガティブ路線以外が出版社の企画会議を通ることはかなりまれだ
  • 中国を変えるのは現実派か理想派か

    次の一文を読んでみてほしい。 **************** 「北京の壁」を倒せ また自由にネットできない世界に戻ってしまった――。これが3時間40分のフライトの後、東京から北京に戻った実感だ。3G携帯を開き、フェイスブックとツイッターに返事が必要な連絡が入っていたので、サインインできるか試してみた。駐機場から税関を通って手荷物受取所に着くまで約20分。携帯のサインイン画面は固まったままだ。この時、僕はようやく理解した。ぶ厚くてバカ高い、ただし姿は見えない壁の中に戻ったのだ、と。中国の13億人を取り囲むこの壁、東西ドイツを隔てたベルリンの壁になぞらえて「北京の壁」とでも呼ぶべきこの囲いの中に。 ネットでの「翻墻(壁越え)」は「異なる声」を聞きたいと渇望する普通の中国ネットユーザーにとって、ごく日常的な行為の1つだ。帰国後の2日間、僕はいろいろな方法を試してこのバカ高い「壁」を乗り越えよう

  • メディアという「裸の王様」

    昨年暮れ、ニューヨーク支局に赴任した編集部の小暮さんから最近、メールをもらった。大まかに言うと、「ニューヨークで発行されているフリーペーパーを読んでいたら、現地在住ジャーナリストの武藤芳治氏が書いたコラムが目に留まった。 これを読んで、長岡さんが震災報道でのメディアのスタンスについて何度か書かれていたことを思い出した。この間長岡さんがアルジェリアの実名報道について書いた記事を読んだとき、『実名報道が必ずしもいいわけではない』と書かれているように読めたので、アルジェリアについては実名報道はいらなかったのかな?と少し混乱した。今後の指針として長岡さんがこのコラムについてどう思うか聞きたい」――という内容だった。 「アルジェリアの実名報道についての記事」とは、2月5日号で筆者が書いた「被害者の名前は公表されるべきか」はという短い記事のことを指している。この中で、筆者はアルジェリアの人質事件で問題

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    kinbricksnow 2013/02/13
    今、小暮さんに被害者取材について聞かれたら、きっと「取材が被害者自身と社会のためになると自分で確信がもてないのなら、話を聞かずに帰って来ていい」と答えると思う
  • 微博は中国を変える、のか

    また微博(ウェイボー)だ。 11月に中国共産党の新しい総書記に就任した習近平は12月初め、広東省深圳市を電撃的に訪れた。深センは言うまでもなく、いまから20年前の92年に「改革開放の総設計師」鄧小平が訪問し、89年の天安門事件後に停滞していた中国経済が再び開放路線に大きく舵を切るきっかけになった場所である。共産党幹部の行動予定は通常、極秘中の極秘で外に漏れることはない。ところが深圳を含む南方視察中の習の行動は、マイクロブログ新浪微博のあるアカウントによって、逐一フォローされていた。 この謎のアカウント名は「@学習粉絲団(簡体字では学习粉丝团)」。「粉絲」はもともとはるさめの意味で、微博ではフォロワーを指す。「学習」は日語と同じ「学習」の意味があるが、「習に学ぶ」という意味にかけているのだろう。この「学習粉絲団」は視察期間中、黒塗りの外車でなく小型バスで視察先を訪れ、ノーネクタイ姿で地方幹

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    kinbricksnow 2012/12/19
    【習近平とソーシャルメディアによる演出】共産党幹部の行動予定は極秘中の極秘。ところが習の行動はあるアカウントによって逐一フォローされていた
  • 尖閣問題はもはや「棚上げ」できない

    大きな火種 香港の活動家たちを乗せ、尖閣諸島を目指す漁船 Japan Coast Guard-Handout-Reuters 夏の沖縄の青い海で、さびれた中国漁船と日の海保の艦艇がぶつかりあう。「同胞」の逮捕に怒った中国人が大陸の都市で反日デモに繰り出し、日車や日料理店を襲う――。 まるで2年前の再現映像を見ているようだ。8月中旬、日中が領有権を争う尖閣諸島(中国名・釣魚島)に漁船で接近し、上陸した香港人の活動家を海上保安庁が逮捕・強制送還すると、中国の20都市以上で日に対する抗議するデモが発生。深圳市では日製だということで警察車両までがひっくり返され、日料理店の玄関ホールが破壊された。 横断幕に並んだフレーズも「日製品ボイコット」「日は釣魚島から出ていけ」と、2年前と同じお決まりの内容。ただ前回は3日連続した逮捕直後のデモが今回は1日だけで終わった(散発的なデモは先週末も

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    kinbricksnow 2012/08/29
    「(文民の)習は鄧ほど軍への抑えが利かない。いったん触れ上がった軍事費を減らす理由もなく、使えるカネが増えれば使う口実も増える」
  • 重慶スキャンダルはどこまで広がる?

    発売中のNewsweek日版4月25日号のカバー特集は中国を揺るがす重慶スキャンダルについてリポートした『不安な中国』。誌北京支局長メリンダ・リウ、豪シドニー・モーニング・ヘラルド紙とエイジ紙の北京特派員ジョン・ガーノー、在米中国政治学者ミンシン・ペイという気鋭のチャイナウォッチャー3人が、今回の薄煕来失脚事件の背景や今後の展開を分析しています。特にガーノーの記事「温家宝の逆襲が物語る路線対立」は、30年間に及んだ温家宝首相と薄の確執を、温の「師匠」にあたる胡耀邦総書記の遺族の証言を基に再現しています。 今からちょうど6年前のことだ。同僚と2人で台湾に出張取材しているとき、当時のニューズウィーク台北特派員に現地の女性記者を紹介された。6年も前の酒の席の話で、ほかにどんな会話をしたかほとんど記憶にないのだが、それでも彼女から聞いた「留学先で薄一波の孫と会ったことがある」という言葉は今も

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    kinbricksnow 2012/04/20
    改革への動きを滞らせているのは誰なのか。法政大学の中国人政治学者、趙宏偉教授によれば、それは胡錦濤国家主席だ。「特に北京オリンピック後、事なかれ主義に走っている」
  • 馬英九再選と中国の限界

    先日のこのブログでお知らせしたとおり、今月14日投開票の台湾総統選を現地で取材してきた。国民党の現職、馬英九か、民進党の女性候補、蔡英文か。どちらが当選するか分からない混戦だといわれていたが、フタを開けてみれば馬が80万票差、得票率にして6%のリードを守って逃げ切った。 なぜか登場とともに降り出した雨の中、勝利宣言する馬英九(14日、台北)(C)NAGAOKA YOSHIHIRO 詳細は18日発売の誌1月25日号に書いたレポートをお読みいただきたいが、現地で取材をしていて意外に感じたのは、「中国との関係は投票に影響しない」と答えた有権者が少なからずいたことだ。選挙期間中、経済、格差とともに「1つの中国」を中台が確認した「92年コンセンサス」が争点として現地メディアにひんぱんに取り上げられていた。ところが話を聞いた中間選民と呼ばれる台湾の浮動層は、みな「まず今の暮らしを守ること」を第一に掲

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    kinbricksnow 2012/01/19
    現地で取材をしていて意外に感じたのは、「中国との関係は投票に影響しない」と答えた有権者が少なからずいたことだ(…)台湾の浮動層は、みな「まず今の暮らしを守ること」を第一に掲げていた
  • ハリス先生は日本兵だった

    「実はね、ハリス先生は今から40年前、日兵として中国で戦っていたんです」 1986年の、確か夏ごろのこと。当時北陸の片田舎で受験勉強する高校生だった筆者は、いつも聞いている旺文社「大学受験ラジオ講座」の外国人講師が、唐突に担当する英単語講座と関係ないことを話し始めたのに驚かされた。「それでね、そのころのことを書いたが今度出版されることになったんです」。特徴のある低音で、続けてそんな説明があったように記憶している。 ジェームズ・B・ハリス。日名・平柳秀夫。 ハリス先生(今も、なんとなく呼び捨てにできない)は1916年、ロンドン・タイムズ極東特派員だったイギリス人の父と日人の母の間に生まれた。16歳のとき父親が急死し、母親と同じ日人「平柳秀夫」になることを選択。横浜のインターナショナル・スクールを卒業したあと、英字紙ジャパン・タイムズの記者として働いていたが、日国籍をもっていたため

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    kinbricksnow 2011/07/22
    官は理不尽な理由で「ビンタをとる」鬼の下士官ばかりでなく、中にはハリス先生の特殊な事情を理解して極力助けようとする「守護天使」のような人物もいる。
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