労働現場は戦前回帰? 今日、民間企業であれ、公務員であれ、組織の中で働き手の階層分解が進み、非正規職員枠が拡大し、固定化されつつある。しかも、正規職員との待遇格差は広がっている。 朧気 ( おぼろげ ) に感じていたが、本書はこのことを、歴史と制度及び客観的なデータを使って明快にしている。 とりわけ、雇用身分制度があった戦前の働き方が今日の職場の中に復活しているという論旨には衝撃を受ける。戦前、労働者供給制度の下で、派遣労働者は賃金を供給元からピンハネされ、供給先からは奴隷のように働かされていた。このような間接雇用は悲劇を生むことから戦後制定された職安法によって禁じられた。にもかかわらず、法の隙間をかいくぐって請負という間接雇用が1950年代から芽生え、60年代後半には人材派遣会社が登場、85年には間接雇用の部分開放を認める労働者派遣法が制定された。それでも当初は専門的なスキルを必要とする