人の細胞から作った「生きた皮膚」を持つ顔型ロボットを作製したと、東京大などのチームが発表した。筋肉の動きが皮膚に伝わる仕組みを模した独自の構造を開発し、笑顔を作ることもできた。しわができる過程の解明や、化粧品や医薬品開発での動物実験の減少などに役立つという。 従来の人型ロボットの多くは、皮膚として柔らかいシリコーンゴムを使っている。チームは、より人間らしいロボットにするため、人の皮膚細胞を培養し、真皮層と表皮層からなる厚さ約2ミリ、直径約25ミリの…
休憩を挟んで計40秒のスプリント(全力運動)を実施すると、酸素の消費量や太ももの筋肉の活動が大きく増加することを早稲田大などの研究チームが明らかにした。研究結果は米スポーツ医学会誌で発表された。世界保健機関(WHO)は週150分以上の有酸素運動などを推奨しているが、多忙な現代人の間で「タイパ」(タイムパフォーマンス、時間対効果)を意識した運動は注目を集める可能性がある。 近年、休憩を挟んで短時間の全力運動を繰り返すことの効果を確かめる研究が盛んに行われている。研究チームは今回、メカニズムを詳しく調べようと、自転車型の装置を使って運動効果を測定した。
作家、神林長平さんは「言葉」「機械」などのテーマを重層的に組み合わせた独自の世界観を反映させた数々の作品で知られる。現代を代表するSF作家の一人として、急速に普及が進む人工知能(AI)をどう見ているのだろうか。寄稿してもらった。 2023年は、チャットGPTに代表される対話型AIが爆発的に普及し始めた年として記憶されるだろう。機械相手に自然な会話ができるというのは驚きを伴う楽しい体験に違いないが、それが実用面で使われると、他人の権利や人権を侵害する恐れがある。ここにきてそれが顕在し、対応策もいろいろ議論されているのは報道されているとおりだ。 対話型、すなわち言語を主体とする生成AIの利用がさまざまな方面で社会的な問題を引き起こすという現象は、社会というものを成立させ、支えているのが「言葉」であることを思えば、当然理解できる。<言葉>は社会を生み、文化や技術を発達させてきた。いつの頃からか人
世界初の「歯生え薬」の実用化に向けた研究が、日本のチームによって進められている。先天的に永久歯の数が少ない人に対し、薬を投与して歯を生やすことを目指した治験を2024年7月から始め、30年の実用化を目標とする。動物実験の段階だが、この薬を使って乳歯、永久歯に次ぐ「第3の歯」を生やすことにも成功した。歯生え薬は、歯の再生という新たな歯科治療を切り開くのか。 「歯を生やすのは歯医者の夢。大学院生の頃から、ずっとそのテーマに取り組んできた。絶対にできると確信がありました」。研究を主導する北野病院(大阪市北区)の高橋克・歯科口腔(こうくう)外科主任部長は、研究を始めた1990年代をそう振り返る。その決意から30年あまり。まもなく歯生え薬の治験開始という段階にこぎ着けた。 歯の数が生まれつき少ない「先天性無歯症」の人は、人口の約1%いる。特に6本以上の歯の欠損は遺伝が大きく関係している遺伝性とされ、
脳などへの電子機器移植後に立ち上がれるようになった脊髄損傷患者のリハビリの様子=研究チーム提供(CHUV/Gilles Weber) 脊髄(せきずい)損傷で下半身がまひした患者に、脳からの信号を伝えるワイヤレスの電子機器を頭部と脊髄に移植したところ、階段を上り下りするなど足腰を自発的に動かす能力を取り戻した。スイス連邦工科大などのチームが、英科学誌ネイチャーで24日に報告した。脳と機械を連動させる技術「ブレーン・マシン・インターフェース(BMI)」を応用したリハビリの成功例として注目される。 患者は12年前の自転車事故で脊髄を損傷し、足を動かすことができなくなった男性(40)。中枢神経である脊髄は脳からの信号を体の各部位に伝達するとともに、末端の手足の感覚を脳に伝える役割を担う。これが遮断されるとまひが起きる。
一つの画面に二つの電卓が並ぶいっぷう変わったアプリが、米アップルのスマートフォン「iPhone(アイフォーン)」と、タブレット端末「iPad(アイパッド)」で公開され、人気を呼んでいる。その名は「ダブル計算機」。開発したのは、兵庫県の63歳の男性だ。リリース後しばらくはダウンロード数が伸び悩んだが、ある改良を加えたことで数が大幅に増えた。その一工夫とは――。【後藤豪】 まず、機能を確認しておこう。画面中央に表示される「→」や「←」の矢印キーをタップすると、計算結果をもう一方の電卓に移すことができる。たとえば、片方の電卓で「89×15=1335」を計算し、矢印キーをタップすることで計算結果の「1335」がもう一方の計算機に表示される(写真1)。そこから計算を続けられる。入力した計算式が表示されたままなので、ミスに気づきやすい。 また、それぞれの計算機で別々の計算をすることも可能だ(写真2)。
熱光発電による実験の様子。中央の緑色のレーザーで装置を加熱し、生み出された電流が左側のパソコンで測定されている=京都市西京区で2021年8月11日午後3時46分、千葉紀和撮影 熱の力を光に変えて電力を生み出す「熱光発電」への期待が、熱を帯びている。太陽光や廃熱を有効利用でき、太陽光発電の課題である発電効率を大幅に向上できる可能性があるからだ。7月には京都大の研究チームが、加熱した光源から取り出せる光エネルギーの理論的限界を突破する装置を、世界で初めて開発したと米国化学会の学術誌に発表。まだ実用段階ではないが、「科学的に大きなブレイクスルー。脱炭素社会の実現に向けた一歩だ」としている。 熱光発電は、高温の物体から生じる光(熱ふく射)と太陽電池を組み合わせ、加熱した光源が出す光を太陽電池で受けて電力に変換する方法。特定の波長の光を使うことで高い出力が期待される一方、光源内で光が何重に反射するた
ADHDの人が使いやすいように当事者男性が開発した多機能リュック。ふたが大きく開き、中身が見えやすい=男性提供 一人でも多くの人が書類をなくすことがなくなりますように――。そんな強い思いで考えた、注意欠陥多動性障害(ADHD)の人が使いやすい多機能リュックが発売された。発達障害の一つで、持ち物の整理整頓が苦手となることもあるADHD。自身もADHDで仕事用かばんが整頓できず苦しんだ経験を持つ東京都新宿区の男性(34)が考案した。困難を抱えながらも完成にこぎ着けた、その開発ストーリーをたどった。 男性は北海道出身。幼い頃から生きづらさに悩んできた。友人とのコミュニケーションがうまく取れず、朝起きられない、必要な持ち物を準備できないなどで、小中学校時代の半分以上は不登校状態だったという。高校卒業後は地元の大学にも進学したが、1カ月ほどで自主退学。その後は2年ほど道内で働きながら勉強し、早稲田大
印刷に使う手製の照射装置を扱う伊藤真陽・京都大高等研究院特定助教=京都市左京区で2019年6月17日午後0時32分、南陽子撮影 クジャクの羽やコガネムシの体など光の当たり方で色が出る「発色構造」を人工的に作り、インキを使わず印刷する新たな技術を京都大高等研究院の研究グループが開発した。構造を使って発色させる手法は以前からあったが、より簡易、安価な印刷を可能にし、普及の可能性を広げる。高精細で極小サイズの画像も印刷でき、色あせない。研究成果は20日、英科学誌ネイチャー電子版に掲載される。 開発したのは、同研究院物質―細胞統合システム拠点(iCeMS)で、材料科学を専門とするシバニア・イーサン教授と伊藤真陽(まさてる)特定助教らのグループ。
政府が方針を固める 政府は正規・非正規に関わらず同じ職務の労働者に同じ賃金を支払う「同一労働同一賃金」を法制化する方針を固めた。パートタイム労働者と正社員の差別的待遇を禁じた改正パートタイム労働法(昨年4月施行)の規定を派遣労働者らにも広げる。5月に策定する「ニッポン1億総活躍プラン」に方向性を盛り込み、厚生労働省の労働政策審議会を経て、早ければ来年の通常国会に提出する方針だ。 同一労働同一賃金を巡っては、昨年の通常国会で自民、公明、維新(当時)3党の賛成で成立した「同一労働同一賃金推進法」で、派遣労働者の待遇について「3年以内に法制上の措置などを講じる」と定めた。厚労省は当初、政省令での対応を検討したが、安倍晋三首相は「必要であれば法律を作る」と発言するなど法制化に強い意欲を示しており、方針を転換した。
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