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☆に関するkitsのブックマーク (7)

  • 小あじの南蛮漬け - 短編 第66期 #11

    作者: 長月夕子 ウェブサイト: 長月夕子 文字数: 991 ○予選通過作品 冷戦は三日目に突入した。今朝のメニューは舌がしびれるほど辛い塩鮭と、皮付きナスの味噌汁(味噌汁の色が変わるから嫌だとの夫の言い分)、甘いホウレン草は嫌いという声にお答えし、あえて胡麻和え。どうだと言わんばかしに並べた朝を、夫は顔色変えずに粛々と平らげ、「ごちそうさま」と言うと器をシンクに置き、鏡の前でネクタイの結び目を確認し、スーツを着込みカバンを提げて「いってきます」といつものように出かけていった。面白くない。嫌味が嫌味として通じず、元凶である犬は自分のクッションの上で朝寝ときている。私はむやみに腹が立ってクッションをだるま落としのように横から引き抜いた。体重3キロ満たない犬は転がり、恨めしそうに私を見たが、すぐソファへ移動してすやすやと眠り始める。飼い主に似て嫌な性格だ。大体夫の性格は細かすぎる。洗濯ばさ

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    kits 2008/03/21
    ただの料理の情景のはず、と自分に言い聞かせてみたり。/ コテツいい迷惑。:-)
  • マスターよしえ - 短編 第64期 #19

    作者: ハンニャ 文字数: 748 ○予選通過作品 おん歳79歳になる書道の人間国宝・よしえ師匠が、一番近い陸まで少なくとも2500kmはあろうかという沖にあらわれた。今日の師匠は『命知らず』と書かれたTシャツ一枚にジーンズという若い格好で、小さい船に乗り込み、へさき近くで”書”をしたためようとしている。こいつはどこにいても書をしたためるのである。 海は、荒れに荒れていた。よしえ師匠のまわりには15名のボディガードがこれでもかというほど水しぶきを浴びながら円陣を組んでいたが、彼らの任務はよしえ師匠を守ることよりもむしろ、紙を守ることだった。師匠に何の心配もしないで作業を続けてもらうためには、紙を守ることが不可欠である。15人に守られている紙はすごい人件費がかかっているわけだが、どこにでもある普通の紙だし、ふとした拍子にどこかへ飛んでいってしまいそうだ。しかしこのペラッペラの紙、よしえ師匠が

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    kits 2008/01/15
    ボディガードの苦労がしのばれます。
  • 擬装☆少女 千字一時物語19 - 短編 第64期 #18

    作者: 黒田皐月 ウェブサイト: 邪装空間 文字数: 1000 一月四日、午前十一時。昨日みんなで少し遅い初詣に行った神社の境内に、僕は一人立っていた。祭がないほどに小さな神社は、三が日を過ぎた今日はもう閑散としていた。木枯らしが音を立てて石畳を吹き抜け、僕は少し身震いをした。 今日は僕ではない僕の初詣。昨日慌しく下宿先に戻っていった姉の振袖は、重い割には寒い。濃い水色の地に白い小花柄の振袖に白地の帯、草履の鼻緒や腕から下げた巾着袋も振袖と同じ水色という配色が、この空の下では寒々しいかもしれない。 今年一年、平穏無事でありますように。縁起を担いで五円玉を賽銭箱にそっと入れ、ゆっくりと祈念を捧げた。声高に話をしながらであった昨日とは違い、今日は厳粛な気持ちでの参拝だ。境内から参道の階段に差しかかろうとした時、階段を静々と登ってくる一人の参拝者がいた。こんな時期に、誰だろう。ふと顔を窺った僕は

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    kits 2008/01/15
    なんかいい感じじゃーん(→主人公に対して)
  • 沼蝦 - 短編 第64期 #17

    作者: 川野佑己 ウェブサイト: ツンドラ 文字数: 1000 ☆優勝作品 新月の夜にヤマトヌマエビが全滅し、水槽の底砂にころりと転がっている様が昆虫のようで薄気味が悪いと思ったが、恭しく新聞紙にくるんで手を合わせた。土に埋めてしまおうかとも考えたが、厳冬期ゆえ分解はされないだろうと火曜日に荼毘に付した。要は燃えるごみの日に清掃車へ投げ込んだのだが、それも手を合わせれば赦されるだろうか。私とてヌマエビを死なす意図はなかったのだし、幾度かの脱皮を経て成長したあかつきには唐揚げにしてべてもよかったのだが、手を下すより早く、勝手に死んでしまった。この突然死は、新月の頃に起きやすいという脱皮不全であるらしい。 正月が明けきらないうちの新月といえば、正に新たな月であるから縁起がよさそうなものだが、当のところは満月の対に当たる。月明かりのない夜に脱皮する習性をなぜに身に着けたのか、私には解らないが

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    kits 2008/01/15
    あやしげな思考(だがそれが良い)。
  • 剥がれてしまったので - 短編 第64期 #11

    作者: わたなべ かおる ウェブサイト: なべトーク 文字数: 1000 爪が剥がれてしまったので、医者に行った。 ちょっとした不注意で、左手の親指の爪を柱に突き立てるようにひっかけてしまった。数ヶ月前に心身の疲れから、あまり事がとれず、そのときの痕跡がくっきりと爪に現れていた。ガタンと真横に一筋、この部分が作られる頃に栄養不足だったのだよと、責め立てるように爪がくぼんでいる。そこで折れるだろうな、と思っていたら、やはり折れた。気をつけているつもりでも、こういうことは、避けられない。 まだ伸びきっていなかったので、生爪が5ミリほど剥がれた。爪が剥がれると破傷風になる。それが怖くて医者へ行った。 「どうしましたか」 「爪を柱にひっかけてしまいました」 私は一応、剥がれた爪を持参した。もげた腕や脚をつなぐように、爪も元通りに戻してもらえたらと思った。 「これは、当に柱にひっかけたのですか」

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    kits 2008/01/14
    なぜに箸(医者も看護婦も)。/ 契約を交わすとどうなるのだろう。
  • 仰ぐ空と花言葉 - 短編 第64期 #5

    作者: 櫻 愛美 ウェブサイト: 桃色の櫻 散る 文字数: 1000 昼下がり。 まばらに浮かぶ白い雲と澄み渡る青空を仰いでいる。古ぼけた遊具のある公園の椅子に腰を沈め、雲の流れを目で追う。 時折ヤブツバキの甘い香りが香る。……そんなはずはない。真っ赤な花びらのヤブツバキは、遠慮気味に私の背後で息を凝らしている。 ヤブツバキが花開く冬の候。私はかじかんだ掌に息を吹きかけ、まだかまだかと貴方が来るのを待っている。 一途な彼は私の愛しい人。 『ツバキの公園に来て?』 理由も聞かされないまま言われたとおり、この公園に来た。 空から目を離し、ツバキを視界に入れた。葉は青々して、赤い顔も見せている花びらやまだ蕾のものもある。古ぼた公園とは対照に、咲き誇っているように見えるが、何故かツバキは一歩引いているように見える。 私は何故だろうと顔をしかめた。 近くには川原がある。川のせせらぎに耳を傾けながらう

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    kits 2008/01/14
    甘ーい。/ ツバキ立場無いような。
  • rocketttt - 短編 第64期 #1

    作者: 藤舟 ウェブサイト: . 文字数: 918 僕の仕事はロケット花火を分解して中の火薬を集めることだった。仲間の水城の仕事は適当な大きさの軸棒にそれを詰めることだった。 「ペンシルロケットってんだよ。」 水城は相変わらず偉そうに言った。 一号機はアルミのキャップに厚紙の尾翼を付けたささやかなV2ロケット。何事も小さい積み重ねから始めないといけないのだ、いきなり手を広げて失敗しちゃったお前の親父みたいになるからな、という水城の意見には賛成だった。今でもばかなオヤジは水城の親父と時々飲みに行って調子に乗っておごったりしてるみたいだが、しかし実のところやっぱり僕の家より水城の家の方が金がないのは変わっていなかったのだった。 感動の初打ち上げになるはずだった初号機は導火線がキャップの口にとどいた瞬間に軽く爆発した。 「成功に犠牲は付き物だろ?」 それよりも俺たちの失敗時の安全対策がうまく働い

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    kits 2008/01/14
    郷愁的な何か。/ 火薬で遊ぶのは楽しい。
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