作者: 柊葉一 文字数: 816 午前2時。タイムオーバだ。 加也は携帯のディスプレイに溜息を落とし、パチンとそれを閉じると、部屋の明かりを名残り惜しく消してベットに潜り込んだ。 もう2週間が経とうとしている。 すっぽりと頭まで布団をかぶった暗がりの中で、加也は指折り数えた。 もう、2週間会ってないんだな。 溜息が自分へ追い討ちをかける。いい加減自分に飽きたのかしらと、自虐的な思いに身を委ね、そんな自分がまた情けなくなった。 もともと誠実な恋じゃないのは理解している。しかしもう、そんなジレンマに苛まれることもなくなった。感覚麻痺とはこのことだろうか。 目をつむる。しつこく溜息を一つ。聞こえてしまえばいい、と思った。 そのとき枕もとの携帯が、待ち焦がれていた特別な着信音を歌いだした。飛び起きてベットに座り込み、携帯をつかみ取る。なんて素早い動作だろうと自分で関心するくらい。 「……もしもし」