元の発言は見つからないが、というより、探す気力は微塵もないが、東浩紀が「自分に擦り寄ってきて、後足で砂をかけて去っていった人間は数え切れない」という趣旨の発言をしていたことがある。必ずしも宇野常寛のことだけではあるまいが、そもそも東浩紀の頭の中はジャック・ラカンの知識しかないから、誰しも教えてもらうことがない。文化人サークルへの入り口として門をたたくだけであろうし、用が済んだら立ち去るのであろう。 われわれは他人からの好意はあまり嬉しくないのである。親切な人も「ゴルフを教えてやる」とか大きなお世話であることもあるし、下心が見えたり、それに、好意はいつでも引っ込められるカードなのだ。好意の釣り針に引っかかったが最後、なにかあるたびに「失望しました」とか鉤針で抉られるし、アンチ化せずに無関心になって去ってくれればこちらの手傷が浅いという具合であるから、疑似餌に惑わされる代償は大きい。 こういう