92歳になった名将・広岡達朗氏の野球界への忌憚のないコメントが今、バズっている。監督としてヤクルトスワローズ、西武ライオンズをそれぞれリーグ優勝・日本一に導いた広岡は、現役時代は巨人軍でショートとして活躍した。広岡の4年後に長嶋茂雄氏が鳴り物入りで巨人軍に入り、さらに4年後には王貞治氏が入団した。『92歳、広岡達朗の正体』(扶桑社)を上梓したノンフィクション作家の松永多佳倫氏が、広岡氏とONの知られざる関係性をリポートする。(文中敬称略) * * * 1954年、東京六大学のスター「早稲田の貴公子」と呼ばれていた広岡は自由競争化の中で数球団の勧誘を断って憧れの巨人軍に入団した。広岡のプロ野球入りは、職業野球と揶揄されていた球界においてエポックメーキングとなる。それまでの遊撃手といえばずんぐりむっくりの野暮ったい職人気質なイメージだったのが、180cmの長身に長い手足を生かした華麗な守備、強